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人が隠れられそうなところを中心に探していると、うずくまる人影が見えた。
「Aさん」
Aさんはゆっくりと顔を上げた。眩しいのか目を細めている。
どこか青ざめている顔に、心拍数が上がり始める。
気分が悪いのか?熱中症?
確かに暑かったし…
こういう時はなんだ?水か?いや、でも吐きたいかもしれないし
「あー、、くそっ…そのー」
「ふふっ」
突然笑い出した彼女に驚いていると、Aさんの笑い声がどんどん大きくなった。
俺に笑っているというよりも、自虐に近い笑い方。
何で、そんなに苦しそうに笑うんすか?
なんで俺じゃないんですか?
「撮影始まるっちゃろ?行こ!」
小さな背中が、痛々しげに震えるのを俺は見ていることしかできなかった。
社長の掛け声と共に撮影が終わった。
社長はまたチカって人とよろしくやってる。連絡先も交換したらしい。
どうでもいいけど、Aさんが見てないといいな。
そう思っていると、突然女の方が走り出した。
その先には、呆然と立ちすくんでいるAさんの姿。
最初のうちは楽しそうにしていたAさんの顔がだんだんと下を向き始めた。
女の方はそれに気づいてか気づかずか、永遠に喋り続けている。
「すいません、Aさん気分悪いらしくて俺が送るんで」
咄嗟に抱き寄せた肩は思ったよりも小さくて、震えていた。
俺たちが見えなくなるところまで、Aさんの肩を抱きながら歩いた。
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なる - 久しぶりに泣きました!こんなに良い作品を作ってもらってほんとに感謝です、、!ありがとうございます! (2023年1月27日 21時) (レス) @page33 id: 0a17aac8c4 (このIDを非表示/違反報告)
コットン - 毎日更新してくださりありがとうございます!次のお話も待ってるよ(о´∀`о) (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: cdf631467a (このIDを非表示/違反報告)
サママリネ - めちゃ良かったです! 次のお話も楽しみにしてます✨ 更新頑張ってください❤️🔥 (2022年11月13日 8時) (レス) @page33 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2022年10月30日 23時