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ぎゅっと肩を抱き寄せられ、驚いて顔を上げると、ふぉい君が優しく微笑んだ。
「Aさん、ちょっと前から気分悪かったらしくて、今日は俺が送り届けるんで社長に伝えてもらえますか?」
「あら、そうなの?ごめんね、気づかなくて。
社長さんには伝えておくわね。
じゃあ、彼氏さん、Aちゃんをお願いします」
「はい」
ふぉい君に肩を抱かれたまま、2人でその場を去った。
後ろの喧騒が小さくなり始めた頃、ぱっとふぉい君の手が離れた。
先程まで置かれていた熱がなくなると、ずいぶん寂しく感じる。
「あのー、すいません。余計な事して。しかも彼氏とか」
「ありがとう。あのままやったら、泣いとった」
無理やり笑顔を作ろうとするけど、上手く笑えなくて、むしろ身体中がキリキリと悲鳴をあげ始める。
じっと見つめてくるふぉい君の瞳が見れなくて、下を向いた。
「泣かないんですか?」
「泣かんよ。こんなん、初めてやないし。
そもそも、付き合えるとか、、はなから思っとらんから」
だから泣かない、その言葉はふぉい君に遮られた。
腕の中に閉じ込められて、ふぉい君の匂いが鼻腔を抜ける。
その匂いのせいか、温もりのせいか、どんどん目元が熱くなる。
そうしてとうとう、涙がこぼれた。
「ちかさんってさっ……バリ美人やったよなぁっ、」
「…」
「胸も大きくって、お尻も大きくてっ……私じゃ敵わんなぁっ……
きっつ……」
涙は、私の気持ちも連れていってくれるだろうか
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なる - 久しぶりに泣きました!こんなに良い作品を作ってもらってほんとに感謝です、、!ありがとうございます! (2023年1月27日 21時) (レス) @page33 id: 0a17aac8c4 (このIDを非表示/違反報告)
コットン - 毎日更新してくださりありがとうございます!次のお話も待ってるよ(о´∀`о) (2022年11月13日 9時) (レス) @page33 id: cdf631467a (このIDを非表示/違反報告)
サママリネ - めちゃ良かったです! 次のお話も楽しみにしてます✨ 更新頑張ってください❤️🔥 (2022年11月13日 8時) (レス) @page33 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天ヶ崎音 | 作成日時:2022年10月30日 23時