ある極道のお嬢の話II (ページ8)

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道中、特に問題もなく翔はお使いを遂行できていた。

残るは三國に手土産を渡し両親のもとに向かうのみである。

荷物を持ち長時間移動したからか、翔は眠そうに目を擦り始める。

渋谷「坊ちゃん、抱っこしますか」

翔「うぅん、だいじょうぶ」

翔たちが今いる場所から事務所まではあと数百メートル。

馬渕は事務所へと電話をかけた。

馬渕「あ、陣内の兄貴、はい、、、そろそろ着きます」

まだ背の小さい翔にとって、インターホンを押すのは至難の業。

そこで玄関前で待機しておくことになっているのだ。

渋谷「坊ちゃん、もうすぐですよ」

翔「うん」

渋谷に励まされながら、翔は思い足取りを進めていく。

しばらくすると、玄関前に複数の人影が見えはじめた。

翔は手土産をしっかりと手に持ち、そこに向かって足を進めていく。

翔「貞治おじいちゃんや！」

歓喜の声をあげ、先程の疲労が嘘のように翔は三國に向かい駆け出した。

翔「貞治おじいちゃん！」

三國「おぉー、翔。よぉ来たなぁ、、、なんや1人で来たんか」

驚いた素振りを見せる三國に、翔は嬉しそうに胸を張る。

翔「うん、あんな、僕ね、お兄ちゃんになるの。やからね、1人できたの」

三國「おお、そりゃ凄いなぁ。まぁ立派なお兄ちゃんやなぁ」

褒められると翔は嬉しそうに頬を染めた。

陣内「翔、見ない間に随分大きくなったなぁ」

翔「あ、あのね、賢斗おじちゃんね、好き嫌いはダメだっていってたからね、ちゃんとおやさいも食べてるんだよ」

椎名「同意します。坊ちゃん、カッコええですよ」

三國「翔、疲れとるやろ。少しゆっくりしていき。まだ新幹線まで時間あるやろ」

翔「うん！」