ある極道のお嬢の話II (ページ4)

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Aは、携帯を握りしめ見知らぬ場所を走っていた。

路地裏にたどり着いた光一とAだが、運悪く追ってに見つかってしまった。

光一は何とか隙を作りAを逃し、増援を求めるように言ったのだ。

今、自分がどこにいるのかすらわからないが、とにかく早く助けを求めなければ光一が危ない。

Aは涙を流しながら、必死に電話をかけた。

何人目かの時、ようやく電話が繋がる。

『光一、Aは見つかったか？！』

相手は工藤清。

Aは涙に濡れ、走りながら必死に声を出す。

「おじさっ、、、たすけてっ……あのっ、あの子が、、、死んじゃっ、きゃっ！」

Aの体力はもう限界だった。

転んで血が出たことにより、ますます意識が遠ざかっていく。

『お嬢か？！お嬢、どこにいんだ！お嬢！』

電話口の工藤の声が遠ざかっていくような感じがして、Aの意識は途切れていった。

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「そ、それで、どうなったんすか」

ゴクリと喉を鳴らす速水にクスリと笑みをこぼしながらAは遠くを見た。

「それがねぇ、覚えてないの。気がついたら家に戻っててね心配そうにしてるおじさん達がいて」

実を言えば、あの後Aを見つけたのは拷問師として名高い伊集院である。

Aを攫おうとしていたのは、周辺の半グレ組織で身代金をもらうついでにAのことを売り飛ばそうとしていた。

「でも、なんでお嬢はそんなとこにいたんですか」

「あー、、、それは……」

言い淀むAに速水が首を傾げていると、後ろから光一が顔を出した。

「俺と仲良くなろうとしたんだよ。でも兄貴達に言やぁ俺にバレると思って外の人間に聞いたってわけだ」

Aは顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。

そんなAを見ながら、光一は顔を破顔させたのだった。