ある極道のお嬢の話 (ページ2)

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帰ってきた！天羽組のお嬢様？！ページ2

俺の名前は小峠華太

「ただいま」

華「う、、、ぉ……」

突然の知らせに驚きを隠せないアラサーの極道だ。

野田の兄貴襲撃から数日、俺は親っさんに呼ばれ組長室に来ていた。

部屋に入ると、カシラをはじめ天羽組の主要戦力が集っている。

華(何か、あったのか……？)

今、天羽組は関西最大勢力である天王寺組と戦争を起こそうとしている。

そんな中での緊急収集ともなれば、勝手に褌を占めてしまう。

重々しい空気の中、親っさんがようやく口を開く。

桂「明日、Aがウチに帰ってくることになった」

重々しい雰囲気から一点、何を言われたのか分からず困惑する。

頭の中で必死に親っさんの言葉を噛み砕いている最中、野田の兄貴が口を開いた。

一「なんと、お嬢が」

親っさんが頷くのを見るにやはり聞き間違いではなかったらしい。

なんと、お嬢が！！

お嬢、というのはカシラの娘さんのことで俺も一時期だけだけが護衛を任されたことがある。

当時、下っ端だった俺にも平等に接してくれた心優しいお嬢様だ。

なるほど、よく見ればカシラの顔が幾分緩んでいる。

蒼「お嬢はいつ頃お戻りの予定で？」

桂「うん、それなんだがな……」

口ごもる親っさんに代わり今度はカシラが口を開く。

敏「Aが教えてくれなくてな……里帰りも昨日聞かされたばかりだ。護衛もつけるなと言われてな」

光「ったく、相変わらずのわがまま娘だな」

悪態はつきつつも、永瀬の兄貴からはどこか愛情を感じられる。

お嬢は昔から、護衛やらなんやらをつけられるのを嫌がってたからな。

目立つのが嫌だとかそんなんじゃなく、自分のせいで家族が死ぬのは嫌だって言って……

やべぇ、思い出したら泣きそうだ。

一「まぁ、お嬢が言うなら仕方ないのだ。天王寺のアホ共も人畜無害なお嬢に手を出す真似はせんだろう」

その言葉の裏には、“お嬢に手を出したら殺す”と言う意味が含まれているだろう。

桂「ま、とりあえずAがくるんだ。明日はこの周辺の守りはいつも以上に固めろ」

親っさんの言葉に、俺たちは勢いよく返事を返した。