【歌い手】期待して損した。［２］

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現在、朝の９時。


録音とMixした後に寝たわりには結構早起きだ。


なんなら作業してないときよりも早い。


早起きした分、このシェアハウスで過ごした時間を思い出して涙が流れるからもう少し寝てたかったなって思ったが、寝ぼけた頭で行動するのも嫌である。



色々考えてるうちに目も覚めてしまった。




『……おなか、すいたな。』



昨日はご飯を食べてる暇はなかった。


今更ながらにまふくんの濃い口の料理が食べたくなってきた。


あれだけ嫌がってたのにね。


いざ食べられなくなると思うと少し寂しい。




ご飯のことを考えれば考えるほどお腹がすいてくる。


飢えてぶっ倒れるなんてまっぴらだ、なんて思っているとドアから控えめなノック音が聞こえた。




まふ｢A……起きてる？

朝ごはん持ってきたよ、ドアの前に置いとくね。｣


ドアの外からか細いけど、高い特徴のあるまふくんの声が聞こえた。


少し鼻声だったから結構泣いちゃったのかな、と考える私は本当に無責任であると思う。



まふくんの足音が遠ざかって行くのを確認して、ゆっくりとドアを開けた。


ほかほかの白米といい出汁の匂いがする味噌汁。


そういえばまふくん最近味噌汁の研究してたな。



お盆に乗った白米と味噌汁を見て、また目が潤んできた。


昨日あれだけ泣いたのにまだ枯れない涙。



まぶたをごしごしこすって右手に箸を持つ。





『いただきます……。』



夜ご飯抜いたあとのご飯はとてつもなく美味しく感じるが、今日は特に美味しく感じる。


もう食べられなくなるから、ちゃんと味わって食べよう、と意気込む。







『……味噌汁丁度いい濃さじゃん。』

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