*Snow falls 【浦/島/坂/田/船】

44話# ページ44

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　｢あ、坂田そのホットケーキ頂戴｣

　｢はっ!?俺に何もくれてへんやん!!!｣

　｢A、俺のホットケーキやるから坂田はほっとけ｣

　｢ホットケーキにちなんでほっとけ？｣

　｢センラ先輩めちゃくちゃ寒いです｣



志麻先輩優しいぜぐへへ。あ、志麻先輩がホットケーキに見えてきた、美味しそう。


　｢あ、A目が溶けとる｣

　｢ホットケーキ好きなんは女子やなぁ…｣

　｢いやセンラお前私女子だと思ってなかったのか｣

　｢え？うん｣



当然と言い張るようにして華麗に返信していくセンラに、思わず新喜劇風のコケをするところだったが、ここは高級店。そんな事をしてしまっては、もう恥しか残らない。


　｢取り敢えずホットケーキ食べて落ち着こ｣

　｢ていうかホットケーキっていうよりこれパンケーキですけどね｣

　｢｢え？｣｣


私と坂田が顔を見合せ、戸惑っている間に志麻先輩の口にはどんどんホットケーキが詰め込まれていく。あ、と思ったときにはもう遅かった。



　｢御馳走様でした｣

　｢志麻先輩、私の分どこですか？｣

　｢胃の中、いる？？｣

　｢要りません汚いです坂田に貰います｣

　｢俺も食べたわ｣



私に食べられまい、と必死にパンケーキを口に含んだ坂田の肩を揺らしながら、もうひとつパンケーキを頼んだ。


　｢坂田の奢りで｣

　｢え、ここのパンケーキめっちゃ高いんやけど…って、二個も頼むなぁぁぁああ｣



断末魔となって静かに坂田の魂が抜けていくのを横目に、私は二皿のホットケーキを一瞬にして完食した。

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