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「んでテメエがこんにゃく女の」
「こんにゃく女って言うのはやめない……？」
「んでテメエが要のシャーペン持ってんだよ」
言い直してくれるんだ……
今日のかっちゃん意味わかんないな……いつもの理不尽な意味のわからなさじゃなくって、こう……かっちゃん何かに取り憑かれてるんじゃないかって感じの気分……
僕が微妙にモゴモゴした気持ちが顔にも現れて、かっちゃんが怪訝そうな顔をする。
そりゃあそうだよなぁと、しかしさっきまでここにいて一緒に勉強してた、など説明するわけにもいかず口籠る。だって、それなら僕だけがまだここに残っていることが、色々説明がつかない。
「っおま、趣味悪ッ。いやアイツ、顔はいいけど……」
黙る僕に何を思ったのか、かっちゃんは変態でも見るような視線を投げて来た。
まって。まって。
「すごい誤解が生まれてるから！！！ 落ち着いて！？」
「窃盗は普通に犯罪だかンな。証言はしてやんよ」
「ちがうって！！ てかその証言絶対僕のこと庇護してくれないよね！！」
「たりめーだストーカー予備軍に肩入れするヒーロー志望がどこにいる」
「ウン話聞いて！？」
「まぁいいわ。この時間なら……流石に帰ってるか」
聞いてくれなかった。
今日は、この前休んでたときのノート見してって言われて。てっきり、放課後にノート渡して明日返してもらうものだと思っていたから、呼び出されて彼女が教室に待機していたときは驚いた。嫌な気持ちにはなるはずなかったけど。
すこし考えるそぶりをして、かっちゃんは僕に背を向けた。手には、要さんのシャーペンを持って。
仲良さそうだったからきっと届けてくれるんだろう。良かった、僕から返すには気まず過ぎたから。
かっちゃんが出ていくのをほっとしながら見ていると、不意に彼が振り向いて、僕と彼の目があった。
「？」
思いがけないことで、首をかしげる。そういえば、暑さはどこかに行っていたと思い出した。
「さっさとくたばりやがれクソナード」
思い出したように、いや、本当に忘れてたんだろう。唐突にそんなことを言われて、なんだか本当についでに言ったみたいで。べ、と出された舌に、いつもほど悪意がないことを教えられて。
喜びはしなくても、すこし気持ちが楽になっても良いはずだった。
でも、そんなかっちゃんに、またしても霧のような味の蟠りが心に沈み込んだ。
＿＿＿＿＿
(自分で書いといてなんですがあっかんべする爆豪勝己超可愛いですね)
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作者名：泡沫 | 作成日時：2018年7月21日 21時
