▽ ページ22
「八百万、百ちゃん……うん！ 私は要編糸！ なんちゃらのかなめ、とかの要に、編む糸で編糸！」
漢字を、言いながら空中に書いて説明すると、八百万ちゃんは私と同じように続けた。
「私は、漢字で800万と書いて八百万、下の名前は100の漢字の百です」
「覚えやすいね！」
そのあと、出身中学のことや、自分の個性のことなど、まぁ初対面同士の当たり障りのない会話を交わした。
話の内でなかなかにビックリさせられることがあった。
なんと八百万ちゃん、推薦入学者らしい。個性も物凄い。体内の脂質をあらゆる物質に変えることができ、生物以外ならなんでも生み出すことができるのだという。細部を正確に再現するには、分子構造から詳しく知っておく必要がある、と。
「それ知識蓄えるまでは発動不可能系の個性じゃないの？」と心の底から思った。でも推薦入学に選ばれてるのなら相当使いこなせているに違いない。
つまるところ彼女はあらゆる物を分子構造レベルから知り尽くしていると。しかもそれを覚えている？
やばい、話してるだけで尊敬要素しか生み出されない……なんか自分が情けなくなってきた……初っ端会ったのがたまたまこんな優秀な子だったと思ったが、もしかして雄英生って全員このレベル？ 頭良くって個性凄くて美形な感じ？ どうしよう、顔面は横並んでても馴染めるとして授業で泣くかもしれない。
そう思いながらもニコニコを絶やさない私を！！ 誰か！！ 褒めろ！！ 命令形だぞ！！
「もう半分ほど集まっていらっしゃいますの。ただ、女の子は少ないようで……私を含めて、女の子は要さんで三人目ですわ」
「そうなの？ まぁ私もかなり早く来たからなあ、多分八百万ちゃんと、そのもう一人来てる子がめっちゃ早いだけじゃない？」
「そうだと、嬉しいんですけど、ふふっ」
お口に手を当てて小さく笑う彼女に胸がキュンとした。可愛い！
私のときめきが収まらないうちに、どデカイ扉の前で八百万ちゃんは足を止めた。
赤い大きな文字で、「１Ａ」とかかれている。
「雄英ってなかなかに自己主張激しいよね……？」
「それは、まあ……でも自分が雄英生だということを常自覚できますし、身も引き締まります」
違うそういう話じゃない。そういう話だけど。
「……よし、開けるよ！」
「はい」
扉に手をかける。
「…………開けます！」
「要さん頑張って！」
「違うよ別に緊張してるとかそんなんじゃないから要さんこんなの余裕だからね」
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←およそ２パックほどと思われます。(６)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：泡沫 | 作成日時：2018年7月21日 21時
