２-2(終) ページ6
朝、いつも通り眠気と戦いながら登校すると、ちょうど朝練終わりであろう財前くんと鉢合わせてしまった。
「あ」
急いで口を抑える。が、一度発した言葉を戻せる訳もなく、沈黙が流れた。
昨日初めて話したような女がいきなり視界に現れ、しかも一文字だけ喋った。いやそもそも覚えていないかもしれない。
……何この状況。人見知りにはきつい正直今すぐ逃げたい。でも目合ってもうたし、あ、とか言うてもうた。どうしよう。
などと考えながら視線をぐるぐる彷徨わせていると、ふっ、という声が聞こえた。
見ると、財前くんが口元を抑えてこちらをじっと見ていた。
えっもしかして今笑うた？
いやなんで？笑う要素あった？てかなんでそんな見てくんの？
なんだか恥ずかしくてついまた視線を外してしまった。何かを言おうと口を開くが、何も思いつかず口を閉じる。というのを何度か繰り返すと、また短い笑い声が聞こえてきた。
けどそれは一瞬で、私が視線を向けた時にはもう普段の表情に戻っていた。
咳払いをしたかと思うと、頭を掻きながらはよざいます、と短い挨拶をされた。
「…おはようございます…？」
よくわからないまま挨拶を返すと、財前くんはまた私の顔を見ながら、もう一度口を開いた。
「いや先輩なんやから敬語やなくてええでしょ」
「あ、そうやね…？」
「は、」
え？今、
「変な人。……じゃ、失礼します」
そう言って目礼をし、固まったままの私の横を通り過ぎていった。
…笑った！？えっ財前くんの笑顔初めて見た…
「ゆさ！おはよー！」
「…」
もしかすると、先程見合っていた時間は1分にも満たないのかもしれない。けれど私には何十分にも感じられた。
…笑顔見れたんは嬉しかったけど、やっぱ慣れてない人とは緊張するし間に謙也とかおってほしいな…
「…どした？なんかぼーっとしてへん？」
「…あ、ごめんおはよ！
なんか今、財前くんの笑顔見た気がして」
「え、あの黒髪が財前くん？あの全然笑わん言うてた？」
そうそう！と何度も頷くと、ニヤニヤしたあきちゃんと目が合う。
「…えらい嬉しそうやん？」
なんとなく言いたいことがわかってしまい、反論しようと口を開いたが先に声がかかった。
「お二人さんそないのんびりしてて大丈夫？」
声の主を見ると、少し慌てた様子の白石くんがいた。
「もうすぐ予鈴なるで」
「え！？」「うそ！？」
話を中断してバタバタと3人それぞれの教室へと急いだ。
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におー - 更新楽しみに待ってます！ (2020年8月6日 7時) (
レス) id: 804a9814c8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめこ(プロフ) - ここの財前くんすごい可愛くて好きです…。いつも楽しく読ませてもらってます。 (2019年10月21日 1時) (レス) id: a01c44eded (このIDを非表示/違反報告)
ふじりんご(プロフ) - あっっ こういう系好き… (2019年9月12日 20時) (レス) id: 42d7d11660 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 私は関西人です嬉しいです (2019年9月4日 13時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - テニラビやってますやられてますか？私はみかんですねんという名前でやってますよかったら申請お願いします！あと更新頑張ってください私も光くん好きです (2019年9月4日 11時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さゆ | 作成日時：2019年3月19日 8時
