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「聞いてます？」
手を伸ばし、髪を解こうと伸びてきた財前くんの手をひょいと避け、向き合ったまま距離をとった。
でも。
「…このまま行く！」
「は！？正気すか、ぼっさぼさですよ」
「最近流行りのゆるふわってやつやもん、これで行ってくる！」
「あほな事言うてんとはよくくり直して下さい」
「いやや、嬉しいからこのまま行きます〜！へへ、ありがとう！」
すっかり目が覚めた私は笑顔で財前くんに手を振り、そのままグラウンドに向かった。
本鈴と同時に到着しそうだ。
＊
「どしたん頭」
ギリギリ間に合い、列に加わり息を整えていると、隣の男子列から聞き慣れた声が飛んできた。
「…おはよう謙也。頭は大丈夫」
「そうか。おはようさん……てちゃうちゃう、なんやねんその髪。ギリギリに来た思たらボッサボサやないか」
「せやねん〜」
その言葉に、先程の事を思い出し無意識に口角が上がる。
「なんやえらいご機嫌やん」
「んっふっふ。聞いて驚き。…この頭な、財前くんがやってくれてん！」
「えっほんまか！？ちょ、白石！白石ー！」
予想以上に驚いてくれた謙也は、そのまま大声で白石くんを呼んだ。授業中ですが。
「忍足うるさい！授業中やぞ」
「せやった！すんません！」
「いや忘れるか？普通」
どっと笑いが起こり、列の様々なところから謙也を揶揄する声が聞こえる。
ひとつ残らず突っ込み、それら全て一息で言い切った謙也はゼェゼェと息切れをしていて、その姿にまた笑いが起きた。
私もつい、笑ってしまった。
＊
結局、授業中に髪は解けてしまった。しっかり結べていたわけではなかったから、当たり前といえば当たり前だけれど。
落ち込みながら教室へと歩いていると、前方から財前くんが歩いてくるのが見えた。
「あ、財前くん！」
「…さっきぶりすね」
「やね！…ていうかごめん、折角くくってくれたのに体育で動いてたらとれてもーた…」
素直に謝ると、財前くんは驚いた顔でこちらを見てきた。
「自分でとったんやないんすか？」
「え、解かん言うたやん？」
「せやけどあんなボサボサやったのに…」
「やってほんまに嬉しかったんやもん」
そう伝えると、そっぽを向いてふーん…と呟く財前くん。
「なんでいきなり顔逸らすん」
「別に」
訳が分からない。とりあえず話を変えようと口を開く。
「そういえば謙也にもやってもらった時あるねんけどさ、早いけど下手なんよな。白石くんは上手やった。やっぱ妹さんおるからかな」
「は？」
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におー - 更新楽しみに待ってます！ (2020年8月6日 7時) (
レス) id: 804a9814c8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめこ(プロフ) - ここの財前くんすごい可愛くて好きです…。いつも楽しく読ませてもらってます。 (2019年10月21日 1時) (レス) id: a01c44eded (このIDを非表示/違反報告)
ふじりんご(プロフ) - あっっ こういう系好き… (2019年9月12日 20時) (レス) id: 42d7d11660 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 私は関西人です嬉しいです (2019年9月4日 13時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - テニラビやってますやられてますか？私はみかんですねんという名前でやってますよかったら申請お願いします！あと更新頑張ってください私も光くん好きです (2019年9月4日 11時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さゆ | 作成日時：2019年3月19日 8時
