第21話 寂しい ページ24
Aside
「はぁー、今日も楽しかったな……」
夕暮れ時、家に帰る道を歩いている。
前から仲が良さそうな家族が歩いてきた。
小さい4歳くらいの女の子が、お父さんとお母さんの手を握っている。
微笑ましいなぁ。頬がゆるむ。
「お母さん！ 今日はハンバーグがいい！ 」
「またか、一昨日もそうだっただろ？ 」
おかしそうに笑うお父さんに、怒る女の子。
「いいのー！ ハンバーグ！ 」
「分かったわよ、ハンバーグね」
「やったー！」
私は微笑ましさと一緒に別の気持ちも感じていた。
この変な気持ちは何なんだろう。
その答えは、家に帰ってすぐ分かった。
「寂しい……」
一人暮らしにしては広すぎる一軒家。
小学生の頃は、ここで両親と３人で暮らしていた。
ソファに座りながらあの頃の事を思い出す。
テレビの前のこのソファは、お父さんの特等席で。
たまに座らせてくれたっけ。
優しくて料理が上手なお母さんは私の自慢だった。
すごく幸せだったな。
……だけど
中学生になってすぐ、お父さんとお母さんが海外に転勤になった。私はせっかく受かった中学校に
通いたくて残ることにした。
「1年後には帰ってくるからね」
そう言ってお父さん達は行ってしまった。
おばあちゃんがお世話に来てくれたけど、なんでか
寂しくて。
そんなある日、お父さんの企画が大成功した。
そのお陰で能力が認められ、お父さんは社長にまで出世し、お母さんはお父さんの秘書になった。
その事を国際電話で伝えてくれたお母さんは、
悲しそうに言う。
「ごめんね、A。今年は帰れそうにないの……」
忙しいお母さん達に心配かけたくなくて、私は
涙をこらえて明るい声を出す。
「大丈夫だよ！私の事は気にしないで！
友達も、おばあちゃんもいるし。」
元気そうな私の声に安心したのか、少し明るくなるお母さんの声。
「ありがとう。休みができたら絶対会いに来るからね！」
その後3年間の間、お父さん達の仕事は尽きることがなくて結局会えなかった。
中3の時におばあちゃんを気遣い、一人暮らしを始めてからこの家は静かなまま。
「〜ッ……！」
家族の事を思い出して、苦しくなる胸。
溢れる涙を袖でぬぐう。
いつもの様にイヤフォンを耳に当てて音楽に身を任せた。こうすれば、少しは寂しくなくなるから。
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まりも(プロフ) - 時雨 都さん» ありがとうございます！これからも頑張りますのでよろしくです！(*･ω･)*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2016年9月14日 20時) (
レス) id: 7ccd4d3623 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 都(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！！ (2016年9月14日 19時) (レス) id: cd89bf99bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりも | 作成日時：2016年8月9日 16時
