世界に八人 ページ9
理鶯がテントの中に入るとそこには様々な機械や明らかに重火器と言われるもの、そして寝袋などが綺麗に置かれていた
「何か気になるものがあれば小官に話してから触ってくれ、下手に扱うと危ないものもあるからな」
「わーった」
「うむ、では食事にしよう、アレルギーはあるか?」
「ない」
「そうか、ならよかった」
そう言うとみるみるうちに食事はできた。虫や爬虫類が食材として紛れ込んだのも見逃さなかったが。
「飯食わせてくれるのはありがたいが、いつも虫食ってんのか?」
「そうだが、それがどうかしたか」
「いや、普通に凄いなと思って」
A自身、あまりのひもじさにほんの数回虫を口に入れたことはあった、しかし生きるための手段であって好んで食べることはなかった
「小官は軍人なのでな、サバイバルは得意分野だ」
眼の前にはゲテモノ料理が並んでいるがうまそうな匂いがしていたり、綺麗に盛り付けられているのを見て、意外にも家庭的なんだな、と思った
「……」
「安心しろ、毒や有害なものは入れてない」
Aは訝しげに理鶯と料理をまじまじと見て、料理の香りを嗅ぎ一口かじる
「……うまい」
「それは何よりだ」
空腹がほぼ限界に近づいていたAはあっという間に平らげてしまった
「ふぅ……ごちそさん」
「うむ、いい食べっぷりだった」
「あのさ、あんたってなんでそんなに俺のこと気にかけるんだよ、俺のやったこと知ってるなら尚更だろ」
「先程言ったように、犯罪をしたからといって必ずしも悪とは限らないからだ」
「……意味わからん」
Aは立ち上がり理鶯の方を見る
「俺、もう寝るから」
「あぁ、おやすみ」
その言葉を聞いてAはテントへ入り、寝た、ふりをした
月であたりが照らされているとはいえ、やはり夜の森は酷く暗かった
しかし既に暗闇に目は慣れていたため、理鶯と来た道を思い出しながら歩き始める
テントから抜け出して数分、足にひっかかった感覚がした瞬間思い切り引っ張られ、視点は大きく回りいつの間にか左足を拘束され逆さまに吊るされていた
その反動なのかガサガサと木が揺れるとAの体も揺らされた
「は、なん、なんだこれ」
「あまり動くと怪我をするぞ」
「っ……!」
声の方に視線を向けるとそこには理鶯が立っていた
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作者名:なんかそんな感じの何かさん | 作成日時:2022年9月17日 13時