世界に三人 ページ4
それさえ分かればいいと、Aはモニターから離れようと歩き出す
「ねぇボク、一人かな?」
そう話かけるのは小太りでメガネをかけた、いわゆる不審者というやつだろう、天気がいいせいなのか太ってるせいなのか、汗をジットリ書いてて絶妙に気持ち悪い。
「よかったらおじさんと遊ばないか?お菓子もあるよ」
「いらない」
「遠慮しないでほら、ゲームとかいっぱいあるよ?ね?」
男は無理やりAの手を取りどこかへ連れて行こうとする
「いやだ……っ離せ!」
「こら、暴れちゃダメだよ、さぁ行こう?そのボロボロな服よりずっときれいなのもおじさんが着せてあげるから」
「嫌だ!!行かないってば!!」
「悪いことはしないよ、ほら行こうか」
無理やり引っ張り始めどうにか逃げようとするも大人の力に勝てるわけがなく、引っ張られる
(誰か……助けて……)
「待て、子供が嫌がっているぞ、その手を離せ」
おじさんの手を掴み静止する声が入る
「誰だね、関係ないだ……」
おじさんがその手の主を見ると一瞬で言葉が出なくなった、180cmはゆうに超える高い身長と、見るからに筋肉質でガタイの良い男だったからだ
そう、毒島メイソン理鶯だ
「っぁ…ご、ごめんなさい…」
完全に萎縮しAの手を離しさっさとどこか走っていった
「大丈夫か少年」
「あ、ありがとう……」
「少年が無事で何よりだ、だがあまり一人で出歩くのはよくない、危険だ」
「うん……分かった……」
Aは俯きながらボソッと言う
「そういえばこの辺りで子供によるひったくりが多発していると聞いた、少年は何か知らないか?」
「……知らない、初めて聞いた」
「そうか、昨日ひったくりをした犯人に似ている気がしたのだが……では気をつけるといい」
「うん……じゃあね」
そのままAは去ろうと踵を返す
「待ってくれ」
「……何」
「名前を伺っても構わないだろうか」
「……A……だけど」
「そうか、いい名だ…小官は毒島メイソン理鶯だ、また縁があれば会えるだろう」
「……変な奴」
「そうか?小官は変なことをしているつもりはないが…では失礼する」
そして今度こそAは立ち去った
「変わった子供だったな……」
そう言うとAが去っていった方向を見つめていた
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作者名:なんかそんな感じの何かさん | 作成日時:2022年9月17日 13時