世界に十五人 ページ17
「今日は左馬刻と銃兎が来る」
起きて朝飯を食べながらいきなり聞かされAはポカンとする
「…あのヤクザと警察か…」
眉間にしわを寄せそっぽを向く
「む、そんなあからさまに嫌そうな顔をするな、根は悪いやつではないぞ」
「ほら、お前もこっちに来て食え」
左馬刻に呼ばれ、Aはしぶしぶといった表情で近づき、腰を下ろす
「……いただきます」
「おう」
「沢山たべるといい」
「……」
各々食べ始め、しばらくすると沈黙が流れる。左馬刻と銃兎は口に入れるのを躊躇っているがAお理鶯は何も変わらず食べていく
「あー…A、旨いか?」
左馬刻が尋ねると顔を上げ
「うん、お前は食べないのか」
「いや、食べるけどよ……」
「安心しろ、毒虫は元から入れてないぞ」
「そういうことじゃなくてだな……」
「あー…Aは普段何をしているんですか」
話題を変えようと今度は銃兎が話しかけてくる
「虫取ったり、昼寝したり…ドリルしたり、あ…」
ふと思い出したように二人に顔を向けると
「その、プレゼント……ありがと…」
言葉はだんだん小さくなっていき最後はほとんど聞こえていないが、何を伝えたいのかは伝わったようだ
「どうした急に、まさか素直に礼を言えるとはな」
「だって……誕生日とか、孤児院出てってから…祝われたことなくて……だから、なんつーか嬉しかったってゆーか……」
「偉いぞA、ちゃんと言えたな」
理鶯は優しく微笑みかけると頭を撫でる
「ちょ、子供扱いするんじゃねー!」
照れ隠しなのか、声を荒げながら手を叩く
「ふん、少しは可愛くなったじゃねーか」
「あったばかりは反抗的で子供らしさのこの字もなかったAが、まだ少し棘はありますが、丸くなりましたね」
「うっせ、つか、俺の事よりあんたらは何してんだよ、今日平日だろ」
「俺らは、まぁなんだ、暇つぶしみたいなもんだよ」
「私達は普段は忙しい身なので、こうしてたまには息抜きをしないとやっていけませんから」
「へ〜、警察はともかくヤクザはそんなに仕事大変なのかよ」
「ああ!?舐めてんなコラァ!ぶっ殺すぞ!!」
「左馬刻、落ち着きなさい…Aもなぜすぐ煽るんですか」
「思ったことを言っただけだし」
そう言ってトカゲの丸焼きを口の中に詰めるAを見て二人はため息をつく
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作者名:なんかそんな感じの何かさん | 作成日時:2022年9月17日 13時