世界に十三人 ページ15
「実は左馬刻と銃兎からプレゼントを預かっているんだ、小官からのもあるぞ」
そう言うとテントに入り、戻ってきたかと思うと3つのラッピングされた箱を持ってきた
「これは銃兎からだ、開けてみてくれ」
「…開けたら爆発とかないよな」
「ふっ、安心しろ」
Aは恐る恐る包装紙を取り、中から出てきたのは漢字ドリルと算数ドリルと筆記用具だった
「これ…」
「貴殿はまだ小さいからな、勉強するべきだ」
「いらない」
「何故だ？」
「だって……」
Aは少し俯いて、呟くように言葉を発する
「もう必要ないもん」
その声はいつもより小さく、寂しそうな響きがあった理鶯はAの隣に行き、頭の上に手を乗せる
「確かに、この世界では必要ないだろうな」
「……」
「だが、いつか必要になる時が来るかもしれない、その時の為に貴殿が学べる環境を整えるのも大人の役目だ」
「……」
Aは照れたように気まずそうに目線をフイと外した
「…こんなクソガキによくプレゼントをあげようと思うよな」
「生まれた事を祝うのは当たり前だ、それに今まで祝ったことがないなら尚更だ」
「……まぁ、貰えるものは何でも貰うけど」
「そうしてくれ、では次はこちらだな」
理鶯はAの前に小さな包みを差し出す
「これは左馬刻からの贈り物だ」
「……あのヤクザか…」
「中身を見てくれ」
言われた通り袋を開けると中には青を基調としたブレスレットが入っていた
「これは……」
「お守りだと言っていたな」
「ふーん……ん…つけとく、袖で見えないだろうけど」
「お守りだからな、つけることに意味が有る」
手首にブレスレットをつけ、嬉しさを隠す様に目を逸らす
「さて、最後は小官からだな」
理鶯は先程のAのようにポケットに手を入れ何かを取り出す
「これを」
差し出されたのは黒いケースに入ったマイクだった
「え、これって…」
「ヒプノシスマイクだ」
「そりゃ見たら分かるけど…なんでこんなのが」
「Aにラップの才能があると思ったからな、左馬刻にも協力してもらって用意した」
「だからってそんな簡単に出せるものじゃないでしょ？」
「それは問題ない、軍資金は十分にあるからな」
「そういうことじゃなくて……はぁ、まあいいか、くれるっていうんなら貰っとくよ」
「そうしてくれると助かる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なんかそんな感じの何かさん | 作成日時：2022年9月17日 13時
