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世界に一人 ページ2

薄暗い路地裏の中、物陰の中に隠れるように一人の少年がいた


少年はポケットに突っ込まれ、かなり時間のたった固くて味のしない食パンを取り出し、手でちぎると少しずつ食べる


「……もうない」


それだけ呟くとゆっくりと立ち上がり、ヨコハマの街へ消えていく。


______
「やれやれ…相変わらずヨコハマは治安が悪いですねぇ」


そう言ってため息をついたのは入間銃兎、MAD TRIGGER CREWのメンバーで警察官をしている。


「んなの今更だろ、なに改まってため息なんかついてんだ」


乱暴な物言いをするのは碧棺左馬刻、彼もMAD TRIGGER CREWのメンバーでありリーダー、そして火貂組の若頭だ


「何かあったのか?小官が出来ることなら力を貸そう、例えば料理とか…」


背が高く迷彩服を着ているのは毒島メイソン理鶯、また彼もMAD TRIGGER CREWのメンバーだ、ゲテモノ料理をよく振る舞っている


「い、いえ、先程食べてきたばかりですし問題はそこではないので大丈夫ですよ…ただ、最近ひったくりにあったと言う人が多く、どうしたものかと思いましてね」


そう話しながら3人はヨコハマの街を歩く、ちょっとした散歩をしているらしい


「しかも、その犯人は背が低く…おそらく子供だろう、という供述がほとんどなんです」


「ガキがひったくりしなきゃ生きてけねぇ世界か…相変わらずクソみてぇだな」


「それには同感だ、子どもたちにはのびのびと平和な世界で暮らしてほし…」


「誰かそいつ止めてちょうだい!!アタシのバッグが!!」


そう叫ぶ女性の先にはフードを深く被り女性ブランドの鞄を抱えた背が低い、恐らく子供が走っていた。


「噂をすれば、だな」


「追いかけよう」


「ですね、そこの子供!止まりなさい!」


3人は走り出し、子供を追いかける


「チッ…」


路地裏に入ると細く入り組んだ道を軽く走っていく


「奴はここらに慣れているようだな、分が悪い」


「だからといって逃がすかよぉ!!」


そしてずっと追いかけ行き止まりに行き着いたが…


「いない!?しかし他に道なんて…」


辺りを見回しても見つからない、不思議に思うと理鶯が見つけたらしい


「左馬刻、銃兎、上だ!」


そこには換気扇や雨樋を上手に使いちょうど壁を越えようとしている子供を見つけた


「オイ待てやゴラァ!」


一瞬その子供と目が合うも、深く被ったフードによって口元しかわからず、子供はそのまま壁の向こうへ飛び降りた。

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作者名:なんかそんな感じの何かさん | 作成日時:2022年9月17日 13時

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