俺達は女忍びを捕まえた。【刀剣乱舞】 (ページ9)

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その9 ページ9

「...これは失礼しました。

どうも動いていないと落ち着かないもので」

私が静かにそう言うと、彼は薄く笑う。

なんて綺麗な顔をしているんだろう、と思った

「噂通り、全く何を考えているのかわからないな」

「そちらも同じですよ。全く表情が読めません。」

「はっはっは、よく言われる」

なんなんだ、この人。本当に何を考えているのかわからない

「俺のことは三日月とでも呼んでくれ。

そんな所で話をせずにこちらへ来たらどうだ」

「申し訳ないですがそれはできません。私は早くここを出たいんです、出口へ案内していただけませんか」

彼は少しだけ口を閉ざすと、再び穏やかに答えた。

「それはできんな」

あぁ、もう力ずくでなんとかするしかない。

この時ばかりは理性よりも本能が勝ってしまい、私は塀から飛び降りて彼の立つ縁側へ入る。

「ではこちらからお暇させていただきます、お世話になりました。」

私がそう言って小走りで立ち去ろうとすると、

三日月と名乗ったその男は急に声を張り上げた。

「加州！堀川！忍びの娘が逃げるぞ！」

「えっ」

誰だその人、と思った瞬間、なんと天井裏からあの日の晩に出会った二人の青年が飛び降りる。

私はその時にすぐに庭に出て三人から距離を取った。

「忍法でも学ばれましたか」

「いやなに、ただの真似事さ」

「堀川、あの子どうやって捕まえる？」

「そうだなぁ、とりあえず手刀で...」

「それはやめておこう、今度こそ首の骨折りそうで怖い」

そんな会話をする二人をよそに、私はすぐに走ってその場から離れた。

正直、なぜここまであの人達が私を返してくれないのかがわからない。

「このまま出口を探すしか...」

私が廊下の角を曲がった瞬間、目の前に小さな見覚えのある男の子が歩いて来た。

「あっ、忍びさん！おはようございます！」

「ご、五虎退さん...

おはよう、ございます。」

「どうしたんですか？そんなに急いで」

「あの、玄関ってどこにあるか教えていただけますか？」

「あ、玄関はですね、あそこを曲がって...」

彼はすらすらと玄関のある場所を答えてくれた

「ありがとうございます」

「はい！ではまた！」

あぁ、また言われてしまった。
約束されてしまうのは苦手である。

守れるかどうか、確約がない

その後も廊下を走って、やっとのことで玄関に辿り着いた。

...の、だが。

「待ってたぜ」