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その15 ページ15

私達を喰らおうと襲いかかってくる熊






「五虎退さん、少し下がっていてください」


「え...」






私は片手で彼を自分の背後に寄せて、脇差を抜く。

そして、噛み付いてこようとした熊の首を斬った。
熊が動けなくなった所を確認して、私は五虎退さんを抱え上げて走った。






「わっ...あの、ごめんなさい。

...護ってくれて、ありがとうございました。」






彼は私の方を見上げて、礼を言った。






「襲われる前に会えて良かったです。

あの建物に、案内してくれませんか?」






私が前だけを見ながらそう言うと、彼はどこか嬉しそうに「はい!」と答えてくれた。







.
.
.







「___五虎退が帰ってこない?!」







歌仙が顔を真っ青にして声を荒げる。






「申し訳ない、私があの時何がなんでも付いていっていれば...!!」






ギュッと拳を握りしめる一期を、歌仙は宥める。






「それは仕方のない事だよ、一番最悪なのは鶴丸が泥酔していたことだ。彼には一週間畑仕事をやってもらうよ」


「マジか..........」






これからの一週間の事を想像して先程の歌仙のように顔を青くする鶴丸。






「とにかく、すぐに山に出て探しに.......」






そう言いながら歌仙が玄関へ向かうと、扉が静かに開いた。

その先に立っていた人物を見て、三振は驚嘆した。









「......先日はお世話になりました。

偶然五虎退さんにお会いしたので、ここへ案内していただきました。」






一期は彼女の腕の中に大切に抱えられた五虎退を見て安心する。






「ぼ、僕が熊に襲われそうになってたのを助けてくださったんです。それで...」





五虎退がなんとか説明しようとするのを優しく制して、彼女は喋り続けた。





「彼は足を捻挫しているので、手当てをしてあげてくれませんか」





その言葉に、五虎退は驚く。
確かに捻挫はしていたが、自分は一言もそんなこと言ってなかった筈だと。

一期は彼女の方に駆け寄って五虎退を背負い、歌仙と共に手当てに向かった。






「まさか君の方から帰ってくるとは思って無かったぜ」


「...ええ、私もまさか "こんなもの" をつけられるとは思っていませんでした。」







忍びの娘はそう言って自分の手首を顔の前に出す。

そこには、薬研が言っていたあの飾りが輝いていた。









「外していただけませんかね」

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作者名:にわ | 作成日時:2020年2月7日 19時

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