たった、ひとつだけの ページ48
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「いーのー?最適解とかいってたのに」
「まァ良くはないんだけれど。
…私は昔から中原君には弱くてね。
つい甘やかしてしまうンだ」
「リンタロウ、かっこ悪い!」
「今くらい褒めてよエリスちゃん!」
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「出来ます。」
…そう云い切る俺に
目を細めながら「何を根拠に?」と問う首領。
小さく深呼吸してから、
怯まずにこう続ける。
「確かに、今まで弱味が無かッたことが、
俺の強みに繋がッていました。
若し恨みを買ったとしても
其の矛先は俺にしか向かない、
だから自由に戦えた。
…唯。守りたいものが増えたとしても
たッたひとつです。俺にはそのひとつしかない。
それだけで今まで積み上げてきたモノを
壊される程ヤワじゃありません。
其れに…。待ッている人がいた方が
必ず帰ってこようと、思えますから。」
…首領は俺の言葉を最後まで聞いてから
深く一度頷き。少し頬を緩めた後、
「中原君は…覚悟を決めたンだね。」と呟いた。
そして。
「解ッたよ。降参だ。
試すような真似をして悪かったよ。
…あ。若し振られたら私が慰めてあげるから。」
「_____首領。
お言葉ですが、
この間は柏村には心に決めた人がいると…」
「あッれェ?私、そンなこと言ったッけ。
ね〜、エリスちゃん?」
惚ける首領に、エリス嬢は、
「言ってたわよ!この嘘つき!」と罵る。
「此処は話合わせてよ…」と嘆きつつ、
ポカポカと殴られ続ける首領から
先ほどまでの威圧感は消えていた。
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『あ、お帰りなさい中原さん。
思ったより、早かったですね。』
「成る可く早く終わらせてきたンだ。
矢ッ張り、Aと一緒に食べてェから。」
「その方が何か美味ェンだよな」という言葉に、
何故だか泣きそうになる自分がいる。
『…今日は肉じゃがです。
冷めないうちに、どうぞ。』
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料理を頬張る中原さんに、
『お誕生日の日のメニューは何が良いですか?』
と問いかける。
『出前でお寿司とかの方が良いですか?それとも
クリスマスみたいにチキンとか。
あ、偶にはピザなんかも』
「いや。」
私の提案を無視し、
「咖喱飯が食いてェ。」と一言。
『お誕生日は、もっと豪華な方が…』
「手前の一番得意料理だろ?」
中原さんは、わかっていたのか。
あれはそう。あのお店で学んだ_____
『わかり、ました。』
…始まりと別れが同じだなんて皮肉なものだ、と
密かに思った。
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mikky - ギャグ線高くて面白かったです!!ニヤニヤ止まりませんでした! (2021年6月25日 16時) (レス) id: 0c37dc8e40 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - ましろさん» 更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - アヤカ★さん» コメントありがとうございます!ずーーーっと2人に幸せになって欲しかったのでようやくかけて安心しました(T_T)コメントたくさんいただけて嬉しかったです!残り1話ですが最後まで宜しくお願い致します♪♪ (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» コメントありがとうございます!バラの本数まで本当は描きたかったですね笑最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(T_T)!! (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハッピーエンド感動しました。 (2020年5月8日 18時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年8月20日 11時