これをご褒美にしよう ページ39
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バレていたのか、いつから?なんで?!
どうしよう、ヤバイ、殺される___
表情筋はなんとか動かさずにいるが
頭はもう、パニック状態。
思考回路を停止する暇も無く
言い訳を何とか絞り出そうとしていると。
「…ンだよ、本当に寝てンのな」
……起きてたら弄ってやろうと思ッてたのに、
と言う声音はとても残念そうだ。
__状況を察するに
今のは私を試しただけだったらしい。
条件反射的に反応していたら
…一体どうなっていたことか。
間一髪、救われた…と
まさに安心しきっていた私だったのだが。
ふと、車が止まる。信号に捕まった様だ。
すると。
何かが、頭に触れているのに気づいた。
中原さんの手、だ。
その手はそのまま髪の上をゆっくりと移動し、
首元までやってくる。
____撫でられ、てる?
混乱する頭にさらに追い討ちをかける様に、
私を撫でる手は方向転換をして頬をなぞり、
口元を、かすめた。
あくまでも、中原さんは無言だ。
…車がまた、動き出す。
だけれどさっきまでとは違って
中原さんの手は私から離れない。
ずっと肩の上に乗っていて
毛先を指先に絡めて遊んでいる。
鼓動が、うるさい。
静かな空間にイヤというほど響き続けた。
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それから暫くして、
エンジンの音が鳴り止み、
シートベルトがそーっと外される。
多分、家に着いたのだろう。
長すぎる、帰路だった。
中原さんに起こされたら
すぐにここから脱出を_____
「もう、我慢ならねェ」
その言葉が聞こえた刹那、
柔らかいものが額に触れた。
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「起きて…ねェ、な。
よし、大丈夫、…危ねェ」
なけなしの理性が
Aの唇を奪うことは思いとどまらせた。
あァ、やッちまッた。
__此奴には想い人が居るのに。
「まァバレなきゃ、いいよな」
今日頑張った褒美ッつーことにしよう。
そうだ。うん。
俺は軽く咳払いしてから、
あまり期待はせず、
寝ているAを起こす為に
耳元で名前を呼びつつ体を少し揺らすと、
瞬時にカッと目を見開いた。
そして_______
「うおぉ……起き」
『中也さん本日はわざわざありがとうございました大変なご迷惑をおかけいたしました先に部屋へ帰っていますねまた明日おやすみなさいさようなら!!』
と。
ものすごい早口でまくし立てた後、
ものすごい勢いで消えるA。
「な、何だァ……?」
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mikky - ギャグ線高くて面白かったです!!ニヤニヤ止まりませんでした! (2021年6月25日 16時) (レス) id: 0c37dc8e40 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - ましろさん» 更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - アヤカ★さん» コメントありがとうございます!ずーーーっと2人に幸せになって欲しかったのでようやくかけて安心しました(T_T)コメントたくさんいただけて嬉しかったです!残り1話ですが最後まで宜しくお願い致します♪♪ (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» コメントありがとうございます!バラの本数まで本当は描きたかったですね笑最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(T_T)!! (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハッピーエンド感動しました。 (2020年5月8日 18時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年8月20日 11時