約束を果たす時ですよ ページ34
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眩しい日差しがカーテンから差し
その光で俺は目が覚めた。
勢いよく起き上がる。
いつも通りの寝室、いつも通りの格好。
「……夢オチか、此れ。」
心の中でまさかな、と思いつつも
部屋を出てリビングへと向かう。
近づくにつれて
ウィンナーの焼ける良い香りが漂ってきた。
扉を開けて台所の方に目をやると。
『おはようございます。今日は早いんですね。』
いつも通り____Aが其所に居た。
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本当に何もかもいつも通りで
昨日の出来事は本当に夢だったのではないかと
錯覚する程だった。
ただ、ひとつだけ違うとすれば
昨日のように、……会話がない事。
しかし気まずい雰囲気という訳でもなく、
それもいつも通りであるかの様で……
こう云う時こそ俺が話し始めるべきだろと腹を決め
試行錯誤の末に思いついた、
「今日もいい天気ですね」を口に出そうとした時、
それよりも先に
『今日の夜って空いてたりしますか?』
とAが口を開いた。
全く予想していなかったモンだから、
「え?あ、ああ、あァ。たた、たぶん空いてるぞ」
なんていう返しになっちまッた。
それを聞いたAは
クスッと笑ったあとに『良かった』と呟き、
『そうしたら、約束を果たしてもらいたいんです』
と一言。
「約束?」と聞き返すと『はい』と応え、
『中原さんが私の財布になるっていう約束ですよ』と不敵に微笑んだ。
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初めてケンカをした仲直りの条件、
" 飯を奢る "を果たすため、
仕事終わりにスーパーへ呼び出された。
『やっぱり中原さんの重力操作って便利ですね……
あんなに重たかったレジ袋が
こんなに軽くなるなんて……主婦の味方です。』
「…真逆自分の異能をこンな風に使う日が来るなンて思ってもいなかッたな」
俺が指先で触れたレジ袋が軽くなったことに
何故か物凄く感動された。
主婦の味方って……スーパーの安売りか俺は。
「……貸せ其れ。持つから」
『え、あ……すみません
幾ら異能のおかげで軽くなっているとはいえ、
申し訳ないです…』
「気にすンなッて。
俺は…
手前の財布だしな……ブッ」
真面目な顔で言い切ろうと思ッたが
耐えきれずに噴き出す。
「すまん、今思い出すとツボに……ククッ」
『その発言引き摺るんですか……?!』
『場を和ませようとしたんですけど…』とA。
Aも、同じ気持ちだったのか。
…何だか嬉しくなったのは、黙っておこう。
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mikky - ギャグ線高くて面白かったです!!ニヤニヤ止まりませんでした! (2021年6月25日 16時) (レス) id: 0c37dc8e40 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - ましろさん» 更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - アヤカ★さん» コメントありがとうございます!ずーーーっと2人に幸せになって欲しかったのでようやくかけて安心しました(T_T)コメントたくさんいただけて嬉しかったです!残り1話ですが最後まで宜しくお願い致します♪♪ (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» コメントありがとうございます!バラの本数まで本当は描きたかったですね笑最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(T_T)!! (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハッピーエンド感動しました。 (2020年5月8日 18時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年8月20日 11時