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夜の闇に涙をかくして ページ32

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『あーーー、もーーー、』

明日ひどい顔になりそう、なんて
本当はどうでもいいことを、ボソリと呟く。




深夜の公園。人影もなくて海風だけが吹いている。


ベンチに座って風を感じていれば、
……何も考えずに済むから。




『……ここで、森さんと会ったんだっけ。』


……確かあの時森さんは________




「こンなところで泣いていると、
夜の世界が君を連れ去ってしまうよ」




『!』




驚いて振り向くと、そこには____




『太宰、さん、』


「誰かと思ったらAちゃんじゃないか、って…」


私は、はっとなり、急いで必死に涙を隠す。




『な、何でもないんです、これはその、』


「…涙が押さえられない位追いつめられている時に
嘘をつくのは君の悪い癖だよ。

生憎だけど女性が泣いてるのはほッとけなくてね。

話してくれるまで隣に座り続けるから。いいね?」


『……卑怯ですよ、そんな、の……っ、』




隣に誰かが居てくれる、というのは
こんなにも心強い事なのか。


理由は自分でもよくわからないが、
涙がとめどめなく流れてくる。




「はァ。こンなに君を泣かせるなんて。
中也も罪な男だねェ。」


『!っ、な、なんで…知って』


「君と飲みに行った時に
イヤってほどくっさい香水の香りがしたから」




「気づかないとでも思ったの?」
とまで言いながら私の涙を拭う。




『……太宰さんは、何で、
こんなところにいたんですか?』


「んー?」




それはねェ、と顔を近付ける。




「私は眠ることが出来ないから、と言ッたら?」




『え……』と驚いて固まる私を見兼ねたのか、

「嘘うそ、冗談だよ」と笑った。





「笑わせようと思ッたんだけどなあ」


『冗談でもやめてください、そんな事……』




「あ、今いいこと思いついた。


私の家においでよ。」


『________え?』


「今日は家に帰れないだろう?

私の家、泊まッていきなよ。」


『いいですよ、そんな…』


「大丈夫、取ッて食ったりしないから」


『ちょ、冗談ですよね?待っ、』




.




「……A、何処だ…?」


携帯電話を持ってくればよかったなと
今更後悔している。


あの時は、頭が真っ白になって、無我夢中で…


彼奴が行きそうなところもわからないのに、
体が先に動いていた。




「本当に何も知らねーのな、俺って。」


人ひとり通らない夜中の大通りを走っていると、




「! ……見つけた。」




隣にいるのは、「…太宰?」

もう君を離さないから→←ぽかんと出てきた答え



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作品ジャンル:アニメ
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mikky - ギャグ線高くて面白かったです!!ニヤニヤ止まりませんでした! (2021年6月25日 16時) (レス) id: 0c37dc8e40 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - ましろさん» 更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - アヤカ★さん» コメントありがとうございます!ずーーーっと2人に幸せになって欲しかったのでようやくかけて安心しました(T_T)コメントたくさんいただけて嬉しかったです!残り1話ですが最後まで宜しくお願い致します♪♪ (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» コメントありがとうございます!バラの本数まで本当は描きたかったですね笑最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(T_T)!! (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハッピーエンド感動しました。 (2020年5月8日 18時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2017年8月20日 11時

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