【文スト】中原さん家の今日のごはん。

リゾットが食いてェな ページ28

.




「〜♪」


俺は今、上機嫌だ。

今ならあの青鯖野郎にも、
笑顔で対応できる気がする。…否、無理だな。




『行ってらっしゃい……中也、さん。』




俺の頭の中で朝の言葉がリピートされる。
良いな。うん。




＿＿＿＿＿「名前で呼べ、俺を。」


『名前、ですか。』




不思議そうに小首を傾げながら呟くA。


「あァそうだ。それが俺からの命令。

どーーっしても敬語は外せねェみてェだし。」


『ま、まだ覚えてたんですね、その話。』


「当たりめェだろ。
…ッたく。忘れてると思ッてたのかよ。」


いつか外すんじゃないかと期待して、
敢えて言わずにいたが…そんな気は全く無かった様だ。




「どうすンだ？従うだろ？」


『…拒否権アリならぜひ行使したいですが。多分、
もっと凄いことをお願いされそうなので従います』


「よく分かってンな。良い子だ。」


時計を見るともういい時間だったので
「ごちそうさん」と、立ち上がる。


『あ、お弁当…』と言いながら
台所へ駆けていくAを尻目に俺は玄関に出た。


靴を履いていると、
弁当を片手ににAがやって来る。




『鞄に入れておきますね。』


「おう、サンキュな。」




そして鞄を受け取り、


「じゃァ行ってくる。」




『行ってらっしゃい……中也、さん。』＿＿＿＿＿




" 名前呼び "がここまで世界を変えるとは
思ッていなかった。
思い返す度に笑みがこぼれる。変人だな。


調子に乗った俺は携帯電話を取り出し
Aへとメールを作成する。


「" 今日はリゾットが食いてェな "……と。」


よし、送信。画面に吹き出しマークが浮かぶ。


直ぐに" 既読 "の文字がつき、


『" 了解です、楽しみにしていてくださいね＾＾ "』
と一言。




…たッた、一言二言の会話なのに
こンなにも心が踊るのは何故だろうか。




「________楽しそうだねェ。」


「ッぅおおあああ？！？！？
ぼ、首領！？おはよう、ございます」


後ろを振り返ると何と首領の姿が。
…俺はついに首領にも失態を犯してしまった…




「いや〜御免ね？
ちょっとおどかしてみたくなっちゃッて。」


「すみません。とんだご無礼を…
何の、用件でしょうか。」


「あァそうそう。
一寸後で私の部屋に来てもらってもいいかな？
大した事じゃ無いンだけどね。」


「了解しました。」


俺は首領を見送った後、
荷物を置きに自室へと向かった。




.








「これは、最適解が必要だね」








.

夕食もうできてますよ→←甘々な朝食の時間です

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す