とろとろの甘酢餡かけ ページ21
.
俺は、苛立っていた。
「おッせェ。」
天津飯を食いながら、時計とにらめッこ。
上にのっている卵がふわふわで、
餡掛けの餡はとろとろ。まさにとろふわ。
余りの蟹缶であろう蟹が卵に混ぜ合わせてあり、
仕上げのごま油がまた、
まるで中華料理店のような味わいを________
って、食レポしてる場合じゃねェンだよ。
Aの飯を食うと、自然と食レポを
心の中でし始めちまう。嗚呼恐るべし。
俺が言いてェのは。
「11時過ぎてンじゃねェか…!」
幾ら何でも、遅すぎる。
出てッたの5時だろ?もうすぐ日付変わるぞ?
風邪が悪化したらどうすンだ。
…そんな事を考えつつ、
ちゃっかり天津飯を綺麗に完食してから
ソファにどかっ、と座る。
イライライライラ。
気を紛らわせるために
本日二本目のワインの栓を抜いたのだが
どんどん募ッていくばかりだ。
____『……それ、聞くです?』
絶対に外そうとしない敬語。
一線を引いているような、あの態度。
「誰と、会ってんだよ。」
隠そうとしている、と云う事は
俺には言い難いような関係の人間なのだろうか。
……恋人か?
否、其れは無ェか。
そしたら知らない男と同居なんて許さないだろう。
なら____好きな奴?
「…何考えてんだ、俺。」
髪をくしゃくしゃ、ッとかきあげる。
俺がAのプライベートに
口出しする権利なンて無ェし、
誰と出かけるかなんてAが教える義務も無ェ。
頭では、わかってンだよ。
____一緒に過ごす時間が多くなる程、
日に日に、Aとの距離を感じる事が多くなる。
雇い主と、家政婦。
それ以上何の関係も無い。
何の関係も無い、筈なのに。
.
『ただ今帰り、まし…た。』
ドアを開けると
凄い剣幕の中原さんが立っていた。
『す、すみません…
酔いつぶれるまで飲まされそうになってしまっ』
言い訳をしようとすると、
私のおでこに手を置いてきた中原さん。
『っあ……ぇ?』
不意打ち過ぎて変な声を出していると。
「……熱、あンな。」
____そう言った後、
「今日は早く寝ろよ」と私の頭を撫で、
リビングへと行ってしまう。
私は中原さんの背中を見つめながら
触られたおでこを抑えて呆然としていた。
今のは、何だったんだ…。
そう言われると胸がドキドキしているし
顔も何だか熱くなってきた気がする。
これは果たして、熱のせいなのか。それとも____
542人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mikky - ギャグ線高くて面白かったです!!ニヤニヤ止まりませんでした! (2021年6月25日 16時) (レス) id: 0c37dc8e40 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - ましろさん» 更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - アヤカ★さん» コメントありがとうございます!ずーーーっと2人に幸せになって欲しかったのでようやくかけて安心しました(T_T)コメントたくさんいただけて嬉しかったです!残り1話ですが最後まで宜しくお願い致します♪♪ (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» コメントありがとうございます!バラの本数まで本当は描きたかったですね笑最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(T_T)!! (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハッピーエンド感動しました。 (2020年5月8日 18時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ましろ | 作成日時:2017年8月20日 11時