ワインにはチーズだろ ページ3
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『ささ、早めに食べちゃってください』
「手前は食わねェのか?」
『いや、食べたいんですけど…。
中原さんが使ってない箸とかスプーンとかって、
あったりします?』
「……キッチンの右下の棚。」
『じゃあそれ、使ってもいいですか?』
「……勝手にしろ。」
其奴はありがとうございまーすと云いながら、
キッチンへ向かう。
そう云えば、名前聞いてねェな。
『お待たせしてすみませんでした
じゃあ、いただきますっ。』
「……いただきます。」
スプーンで咖喱飯をすくって口に入れた瞬間。
「____美味、い。」
『んっ!本当でふか!良かったでふ。』
「……口に入れたまま喋ンなよ…。」
照れ隠しに悪態をついてみたが、
お世辞抜きに、本当に料理が、旨い。
…いつも弁当ばかり食ッてッからか?
其れもあるだろが、
この美味しさはプロレベルと云ってもいいだろう。
口の中に咖喱飯のスパイスとルーのコクが広がり、
絶妙にマッチしている。
他のサラダやスープも食べてみるが、全部旨い。
今まで食べていたものが、
犬の餌だったのか…?と思う位ェだ。
『あ、ワイン持ってきますね。
何がいいですか?』
「いや、俺が持ってく____」
『中原さんは座っていて下さい。
仕事でお疲れでしょうから。』
私セレクトで持ってきますね、と
問答無用でワインセラーのところに行きやがッた。
糞、彼処は俺の
ぐちゃぐちゃにしたら、
其れを口実に解雇してやろう…と考えていると。
『持ってきました!
シャトー・マルゴーの2000年ものです。』
そう云うと、
ごとん、と机にワインボトルを置いた。
「手前、ッ其れは……」
『いいじゃないですか、誕生日位贅沢しても。』
「____なんで、知ってンだよ」
『契約の際に、森さんから
「祝ってあげてくれ」と言われまして。』
「ヘェ……」
____矢っ張り幾つになッても、
誰かに祝われるのは悪いモンじゃねェな…って。
何考えてんだ、俺。
「…ワインには、チーズだろ。
勿論、用意してンだろうな?」
『気が合いましたね。私もチーズ派なんです。』
にんまりと笑いながら
ワイングラスを片手に二つ持ち、
チーズがのった皿をもう片方の手に持っている。
『今夜は、長くなりそうですね』
「…そうだな。」
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mikky - ギャグ線高くて面白かったです!!ニヤニヤ止まりませんでした! (2021年6月25日 16時) (レス) id: 0c37dc8e40 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - ましろさん» 更新頑張ってください。楽しみにしてます。 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - アヤカ★さん» コメントありがとうございます!ずーーーっと2人に幸せになって欲しかったのでようやくかけて安心しました(T_T)コメントたくさんいただけて嬉しかったです!残り1話ですが最後まで宜しくお願い致します♪♪ (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 嘘吐き姫さん» コメントありがとうございます!バラの本数まで本当は描きたかったですね笑最後までお付き合い頂きましてありがとうございました(T_T)!! (2020年5月9日 20時) (レス) id: f8809b1e73 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ★(プロフ) - 完結おめでとうございます。ハッピーエンド感動しました。 (2020年5月8日 18時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年8月20日 11時