参 ページ14
隣でモゾモゾと何かが動く｡
その違和感に目が覚め､体を起こして布団を捲ると枕をぎゅうっと抱きしめて寝てる一虎くんがいた｡
……あぁ､そういえば一緒に寝たな｡
私と一虎くんが再会したあの日から2週間｡私達は同棲を始めた｡
一虎くんは今まで松野くんの家にお邪魔になっていたらしいが､松野くんが私と再会出来たんだからと言って家から追い出したそう｡
お互いに一緒に暮らそうだなんて考えてもいなかったから､多分松野くんなりに私達の関係を応援してくれての行動だと思っている｡
狭いシングルベッドの上で､いつも落ちないように抱き合いながら眠る｡
でも､起きる頃には私は他所を向いて寝てるし､一虎くんはいつも枕を抱きしめた寝相になってしまう｡
今日も抱き締めながら目覚める事は無かったなぁ｡
ちょっと残念に思いながらも大きく伸びをすると､隣からうぅ…と呻き声が聞こえた｡
｢A…？｣
｢おはよう一虎くん｡起こしちゃった？｣
｢おう｣
まだ眠いのか､瞼は閉じたまま｡
窓越しの明るい朝日に眉間に皺を寄せ､私が剥がした布団をズルズルと引っ張り潜る｡
その姿が可愛くて､ふふっと声に出して笑うと､笑うんじゃねえーと返ってきた｡
｢私仕事行かなきゃだから起きるよ｡朝ご飯食べる？｣
｢ん､食べる｣
｢はーい｡二度寝するのはいいけど起こさないからね｣
んー､と適当な返事に､これは二度寝するだろうなぁと思わず苦笑い｡
今日も仕事って言ったし､一応家出る前に声かけようかな…と思いながらベッドから立ち上がる｡
よし､美味しい朝ご飯を作らなきゃ｡
まずは顔洗いに行こうとすると､一虎くんに腕を掴まれて思わず足を止めた｡
止められた､というよりも驚きで自ら足を止めてしまった方が正しい｡急に腕なんて掴まれると思わないし｡
｢俺も行く…｣
まだ布団に包まれたままで､子供のように置いてかないでと私に言う一虎くん｡
目を擦りながら､こくんこくん揺れる頭に､またも声に出して笑ってしまう｡
｢じゃあほら､立って｣
｢布団出たらさみぃ｣
｢包まったままでいいよ｣
｢汚しちまうから…｣
｢じゃあどうして欲しい？｣
そう聞くと､おずおずと腕を広げる｡
抱き締めて欲しいのに恥ずかしくて言えなかったんだ｡
そう思うと可愛くて堪らなくなり､思わず私から抱き締めた｡
｢あったかいね｣
｢おう｣
いつもより支度は遅くなったけどたまにはいいかな、なんて｡
腕の中に広がる温もりにそっと体を預けた｡
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むらやま。(プロフ) - 凪々瀬さん» コメントありがとうございます〜！夢主から一虎くんへの心情に力を入れてるので､そう言っていただけて嬉しいです…！自分のペースになりますが､更新頑張らせていただきます！ (2021年8月28日 20時) (
レス) id: 69abba7f4a (このIDを非表示/違反報告)
凪々瀬(プロフ) - こんにちは。お話読ませてもらってます！夢主ちゃんの一虎くんへの心情？がすごくわかりやすくて面白いです！！更新頑張ってくださいね！ (2021年8月25日 12時) (レス) id: a9a880df8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むらやま。 | 作成日時：2021年8月21日 21時
