114.憂い ページ17
『……』
開いた窓からは、風と共に少しの雨が部屋に入ってくる。
窓から吹き込んでくる風のせいで、Aの長い髪が彼女自身の顔を隠す。
ヒ「……」
そしてその風が弱まり、Aの顔が見えた。
その時の姿は、本当に言葉が出なくなる程綺麗だった。
『……ごめん、起こしちゃった？
うるさかったかな…』
ヒ「ううん、俺も寝れなかったんだ」
『…そっか』
Aは開け放たれていた窓を閉めて、こちらに向き直った。
『……もう寝ようか。こんな時間だし、明日も特訓あるからね』
ヒ「…っ、まって。」
『………ん？』
イナズマジャパンに入って、正直俺に見せなかった表情も見られるようになった。
白雪Aという、1人の女の子が以前よりも知ることが出来た。
そんな表情を引き出したのは、やっぱり円堂君で。
ヒ「少しだけ、話さない？」
『いいけど…ヒロトは大丈夫？もう遅いけど』
ヒ「うん、俺は大丈夫」
俺はAの隣に腰をかけた。
ヒ「…なんか、久しぶりだね？こんな静かなところで2人だけで話すの」
『……そう言えばそうだね』
2人で話す時はあったけど、こんな風に話すことは最近は少なかったはずだ。
以前はほぼ毎日話していたせいで、ほんの少しだけ緊張してしまう。
『……私ね』
ヒ「……うん？」
珍しくAから口を開いた。
『お母さん達と過ごした記憶が…最近、薄れてきてるの。
脳っていう器から、漏れ出してるみたいに』
Aの方を、バッと見た。
その横顔は、憂いを帯びたような表情で、こちらまで苦しくなる。
『忘れたかったの。お母さん達のこと。
だけど…いざ思い出せなくなると、また心に穴が空いたみたいになるんだ』
ヒ「心に…穴が？」
『……そう。なんでだろうね？』
Aは首元のネックレスに軽く触れた。
…以前の俺なら、Aになんて言っていた？
なんて言えばいいんだ…？
ヒ「……A」
やっと絞り出した声は、彼女の名前を呟くことしかできなかった。
今まで知らなかったAを少し見てしまったからこそ、戸惑ってしまう。
『ごめん、変な事言ったね。』
ヒ「…っ、ううん。変なんかじゃないよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひかり(プロフ) - 桜さん» どうしましたか？(笑)いえいえです...？ (2019年8月31日 20時) (
レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 吹雪咲彩さん» わかりました！ありがとうございます！ (2019年8月31日 20時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - ありがとうこざいます。急ですみません。← (2019年8月31日 19時) (レス) id: 503371ab34 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪咲彩 - ひかりさん» はい、是非！参加申請の仕方は、小説最強イレブン、集めようぜ？と検索をして、作品のURLを参加したい作品アドレスという所に打ち込んだら参加申請出来ますので！因みに、最後に確認をする為、作品のパスワードが必要になります！ (2019年8月31日 11時) (レス) id: 25540ad365 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 吹雪咲彩さん» 基本DFです！参加させて頂いてもよろしいでしょうか？？ (2019年8月30日 18時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひかり | 作成日時：2019年8月25日 16時
