中途半端 ページ17
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『………翔陽、宮さん、木兎さん、…佐久早さんまで』
「A〜〜〜!佐久早さんのボール当たって気失って全然目覚さなかったから俺心配で……」
『翔陽……』
紛れもなく、元に戻っている。
「……………すまん」
マスクを上げながら、佐久早さんがボソッと言う。
きちんと謝ってくれるから良い人だよな。
『大丈夫ですよ。痛かったけど』
夢にしてはリアルだった。
ふと自分の服を見るとブラックジャッカルと書かれたジャージを着ていた。
ポケットに膨らみがあり、手を突っ込んでみる。
『………これ』
自販機で買ったぐんぐんヨーグルト。
あとで飲もうと思っていたのに、すっかり忘れて試合に見入ってしまったのだ。
「ん?うわ、これめっちゃ懐かし!ぐんぐんヨーグルト!何で持ってんだ?」
翔陽が私の手からぐんぐんヨーグルトを抜き出す。
『……なんでなんだろうね』
「–––––––おいこれ、賞味期限10年前だぞ」
『…え』
佐久早さんがぐんぐんヨーグルトを見て嫌そうな顔をした。
どういうことなのだろう。
「なんでAちゃんが持っとんの?」
そう宮さんに聞かれ、答えられなかった。
これは、私が本当に10年前に戻っていた証拠だ。
そんなことを言っても信じてはもらえない。
『私、ずっと寝てたんだよね。どれくらい?』
「んーー、4時間くらいだぞ」
4時間。
中3の3月に戻り、そこから約10ヶ月。
どういう時間軸のずれなのか、それともただの妄想なのか。
『……………幽霊なのかなあ』
「は、A、何言ってんだ」
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作者名:池田 | 作成日時:2020年7月3日 12時