現実 ページ23
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稲荷崎の試合も終わり、無事勝った。
ギャラリーから眺めていたけれど、両校の熱量は半端無かった。
『モンジェネ、やっぱりすごい』
私の独り言に、翔陽が少し耳を傾けていたらしく、ハテナマークを頭に浮かべていた。
翔陽もその中の1人に含まれるようになるのに、と心の中で笑う。
『………飛雄』
「なんだ」
『もう、大丈夫だね。………影山飛雄だなあ』
「どういうことだ」
『吹っ切れた顔してるってこと!』
宮さんとの試合から、どこか覚醒したような雰囲気になった。
そして、また翔陽も。
レシーブの穴じゃなくなった翔陽は強い。
大人の翔陽のレシーブの上手さは尋常じゃないけれど。
ここから、みんなのバレー人生が始まっていると思うと感慨深い。
大学から見始めたバレーで、経験も浅い自分でも、みんなのこの始まりを知ることができたというのは夢でもいいから見たかった。
これが現実だから、面白い。
「明日、音駒だな」
翔陽が私に話しかける。
頑張ろう、と一言だけ言い残し、私はその場から去った。
–––––このまま、高校生でもいいんじゃないかという考えが頭の中を駆け巡る。
でも今のままだと翔陽と結婚する未来は、…。
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作者名:池田 | 作成日時:2020年7月3日 12時