黒尾 ページ22
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烏野高校のジャージに慣れている自分がいる。
寝て起きても高校生のままで、私は今一体誰なのかわからなくなる。
本当の私は、この樋山Aなのか、果たして大人の日向Aなのか。
『––––––––両方、私だ』
このタイムトラベルの仕組みは何なのか、何が原因で起こっているのか。
最初はボールが当たり気絶したとき。
そこからは精一杯チームを応援するとタイムトラベルをすることになった。
応援しなければ私はずっとこの場所にいる？
様々な選手達がいるこの春高は、私の興味を引く。
それも良い。
「–––––––––烏野の、マネ？」
『……はい、そうですよ』
歩いていると赤いジャージを着た高身長の男性が話しかけてきた。
音駒の黒尾さんだ。
合宿のときに一緒だったし、ブロックが上手かったから記憶に残っている。
「……いや、まてよ、そんなはず」
『––––はい？』
どういう、ことだ。
「クロ、なにしてんの」
「いやあ……烏野にマネ3人いたかなと思って」
「少なくとも合宿にはいたけど」
隣にいる音駒のセッターと話している。
忘れられている？
まあ話したことはないから仕方のないことだけれど。
「…………そー、だよな」
「クロ忘れっぽくなった？」
「なんだと。………あー、すまんな、えーーっと、」
『樋山Aです。よろしくお願いしますね』
「…おう！よろしくな。二回戦お互い頑張ろうな」
黒尾さんの顔は、私を受け入れられないような表情だった。
それが何を示しているのか、私には分からない。
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作者名：池田
| 作成日時：2020年7月3日 12時
