お墓参りに行った ページ21
side_Atou
俺はある人の墓の前にいる
手土産なんてものを持ってきてないけど
俺が来るべきじゃないとは思ったけど
謝らなきゃいけないと思ったから
あの人の優しさと笑顔をお母さんに重ねてた事を
謝ったとしてもう許される事はないけど
この人の前なら本当にただの少年でいられた
もう二度と会えないのが残念だ
ーおや?これまた珍しい客人ですねぃー
真選組の隊士なら見回りでもしてるだろう時間
妙な柄のアイマスクを振り回す
真選組一番隊隊長がやってきた
総「その墓に何か用ですかぃ?」
総『いいえ、偶然通りかかっただけです』
総「偶然通りかかっただけにしては」
総「随分と真剣に見てたじゃねぇか」
『綺麗なお墓だったもので』
『それで、貴方はどうしてここに?』
総「墓の前にちょいと怪しい姿が見えたもんでねぃ」
彼の格好を見る限り見回りの最中なのだろう
『……貴方は彼女の弟さんですね』
棒読みで言い訳をする彼の目が見開く
総「お前…なんで姉上の事知ってんでぃ」
『雨の降る日に、偶然お会いしましたから』
総「雨…?あぁ雨か」
総「あの時姉上が知らない傘を持ってたが」
総「あれはアンタのか」
『彼女に聞いたんですよ、自慢で可愛い弟がいると』
『おそらく真選組の局長、副長の事も』
総「へぇ、俺も姉上に聞きましたぜ」
総「雨の中傘を貸してくれた親切な人と会ったってねぃ」
まさか弟さんに話してるなんて
『そんないい人だと思われてたんですか』
総「だが姉上の前だからって見逃すわけにはいかない」
総「大人しくお縄に着いてくれやすかぃ?」
『彼女の前で刀を振るわけにはいかないんで』
『見逃してくれませんかね、沖田さん』
総「さすがに職務怠慢で怒られまさぁ」
『サボってる人が言いますかそれ』
ピロン
ー村正、帰りが遅いようだが大丈夫でござるか?ー
ー何かあれば迎えを寄越すがー
ピッ
ーお願いしますー
『…それでは』
総「っ!?待ちやがれ!」
煙幕って意外と使えるんだなぁ
ー江戸へは自力で行きますのでそこからお願いしますー
ー嗚呼わかったー
晋助様より先に彼らに会っていたらどうなってたのかなぁ
まぁいっか、俺はこれでいい
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作者名:エラベールコイン | 作成日時:2023年6月23日 10時