硝子のかけらは虹色 (ページ6)

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ラッコ an ページ6

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「ねー、あーばさん。」

「な～に？にのちゃん。」

「手。」

「手？」

「ぅん…手、はぃ。」

柔らかそうな丸っこい手がオレの方に伸ばされる。
かわいい手。

にのの顔を見れば、天井を見つめたままだけど
心なしかいつもより潤んでる。

必要以上に、必要な時だって肝心な気持ちを多くは語らないキミだけど。

でも、寂しがり屋で、オレのこと大好きなキミは
いつだって本当は甘えたい筈なんだ。

引き寄せられるように、手を重ねる。

いつもひとつになれたら、って思うけど
でも、お互いの温もり、形…必ずしもピッタリとは重ならない全てが
切なくて、悲しくて、愛しい。
愛しくて、欲しくて、繋ぎ留めていたくなる。

キュって握ると、やんわり握り返してくれる。

そして安心したように瞼を閉じた。

そういえば…

「今日テレビで観たんだけどさ、ラッコって眠る
時仲間と手を繋ぐんだって。」

「へぇ～…」

興味なさそう…というか睡魔と闘いながらのふわ
ふわとしたキミの返事に顔が綻ぶ
心なしかその横顔も幸せそうだったから

握り返してくれる指先が、キュっキュと
キミの気持ちを伝えるように動かされる。
キミの子守唄がわりに、
オレも微睡みながら話す

「めっちゃ可愛いんだよ～
寝てる間にさ、仲間と離れないように手を繋い
でるんだって。」

「ふふ… オレも、観た」

にぎにぎ、キュっキュ

あぁ、だから手、繋ぎなくなったのかな？
可愛い奴め。