我が主はわがまま姫【巴日和】 (ページ21)

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20話ページ21

sideA

巽に全部を話した。
人に聞いてもらうだけでスッキリした気がする。

巽「…それは本当に解雇なんですか？」
「そうだと思ってます」
巽「私には何か含んでるように思えるのですが」
「何をですか？」
巽「視野を広げるために休暇を頂いたように思いますね」
「では日和さんの婚約をチラつかせたのはなんでですか？」
巽「第三者から見れば日和さんのお父上は相当Aさんのことを気に入ってるように思えます。なので、日和さんと婚約しないかという提案に思えますね」

目を見開いてしまった。
確かに当主は幼い頃から良くしてくれた。
だが従者と自分の息子を婚約させようだなんて…

「巽は馬鹿ですか？」
巽「急に辛辣ですな」
「当主はそこまで短絡的な考えをしない方です。それに、日和さんには日和さんにふさわしい方と幸せになって頂きたい」
巽「…だそうですよ日和さん」
「…ぇ…？」

巽が私の後方を見て微笑んでいる。
いや、そんなわけない。
今日日和さんは雑誌の撮影が入っていたはずでｰｰｰｰｰ

日和「なんでAが僕の相手を考えてるのかな？」

あー。本人です確実に。
聞き間違えるはずがありませんから本当に。

「お、お久しぶりですね日和さん」
日和「本当に久しぶりだねA」

その笑顔はまったく笑っていなかった。