我が主はわがまま姫【巴日和】

18話 ページ19

side日和

日和「Aに何をしたのかな？」

執務室に入ってすぐ出たのがその言葉だった。

「久しぶりの親子の会話が喧嘩腰なのは良くないよ日和」
日和「質問に答えてくれるかな」
「おや？私に怒っているのかい？」
日和「父上」
「からかってるわけでは無いのだけれど…まぁ、いいか」

父上は笑顔のまま答えた。

「あの子には1度暇を与えたよ」
日和「…は？」
「あんないい子が小さな世界に囚われているのは可哀想だからね」
日和「本当にそれだけの理由？」
「もちろん。あの子のことは子供同然だと思っているからね」

つまりクビにしたってことか。
それでAは泣いて…。

「それに、最近2人は仲良くなさそうだからね」

その言葉に身体が反応した。
図星だったから。

「喧嘩でもしてたみたいだね。男の嫉妬は一定値を超えれば醜いよ日和」
日和「…全部、知ってるみたいだね」
「当然だよ。あの子のことが大切で仕方ないことも理解してるつもりだよ」
日和「だったら」
「息子だけのためにあの子を縛りつけろと言うのかい？立派な独占欲だね」
日和「ｯ…」
「後継者では無いとしても巴の名を背負うに違いないのだからしっかり励みなさい。“あの約束”を反故されたくなければね」
日和「言われなくてもそうするから心配無用だね！」
「私は2人の幸せを願っているよ」

知ってる。
父上はそういう人だってことを。

日和「僕は何があってもAを手放すつもりはないよ父上」
「それは楽しみだね。早く孫の顔が見たいものだよ」

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