怠惰なアイドル ページ31
＿＿＿空を飛ぶのに、一番必要なものは何か。
強靭な翼？
それとも風？
違う。
地面だ。
疲れた時に翼を休めるため、
或いは飛び立つ時に強く蹴り出すために大切なそれ。
「＿＿君は俺の地面だ。君がいるからもう飛ばなくていい。
よく頑張ったね、俺」
「仮病だったなんて信じられない…見損なったよ」
「うん、分かってた」
＿と、悪びれもなく満面の笑みを浮かべるこの男。
今しがた、カイロを脇に挟んで高熱を詐欺っていた。
“仕事行きたくねぇんだもん” と。
はぁぁぁ。全く、この人は一体いつまで子供なのだろうか。
今度主演を務める舞台のクライマックスにある1番感動するセリフを、主語を入れ替えただけでこうも腐ったように聞かせられるのは流石だけど、
カイロなんて使って…。
「5日も高熱出てるのに病院に行こうとしない時点で怪しいとは思ってたけど……もう、ほんと、なんだう……笑いそう」
「2日はマジだった。…いや、１日半くら……いや、やっぱ3時間…あれ、やっぱ仮病だったかも…？」
「そんなに酷な仕事なの？Aが嫌がるなんて意外と珍しくない…？」
伝染を防ぐためだったマスクを外しながらベッドに腰掛け、問いかけた。
Aはファンサとかダルい、嫌だ、と言う割にアイドルを辞めたがらないし寧ろ好きなように思える。
そんなAがこうまでして行きたくないなんて…。
僕にサボる宣言をせず嘘をついてまで。
「5月病、5月病」
「今2月だけど」
「ちょっ……んな顰めっ面するなよ…」
横から頬を抓られそれとは反対方向にぷいっとそっぽを向く。
すると今度は背中に重みがかかり、Aの優しい香りが鼻腔をくすぐる。
「…もう。ほんとに心配したんだからね」
「はいはい、ごめんね」
うわ、絶対笑ってる…。
そしていつの間にか、何がどうなったのかは分からないが、
僕はお姫様抱っこの様な形で、Aの膝の上に乗せられていた。
「…今日はAがご飯作って。
5日間いっぱわがままきいたんだから」
「他には？」
「っん…、ぁ、…“仲よし”、してほし…」
「俺がこんなダメになんの、半分お前のせいだかんな。ばーか」
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ちよひめ(プロフ) - 需要あります！次の作品も待ってます。本当におもしろかったです。 (2022年8月22日 10時) (
レス) @page50 id: 7bd8410718 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 最高です 神作品です何回も読んでしまいます！！！更新じゃんじゃんしてください！！！神作品でもう出会えて嬉しすぎます！更新待ってます！！！ (2022年5月30日 15時) (レス) @page35 id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楽流 | 作成日時：2021年12月24日 9時
