語彙のオタク化 ページ27
「あ。あれA好きそう」
「沼だ、沼」
「…あれに、する？」
「いいと思うよ。めっちゃ沼だし」
僕らは、家具を新調しようということで大手インテリアショップに来た。
そして御察しの通り、Aは最近“沼”という言葉にハマっている。
というのもラジオ番組で“沼”という単語が“好きになる”という意味を示すことを知ってから、Aは帰ってくるなり「めっちゃ沼。まふちゃん沼だよ」と。
ラジオ番組をしっかり聞いていた僕は唐突のその発言にも理解出来たけれど、傍から見れば悪口のようにも聞こえないことはない。
元々、新しい言葉を覚えてきたら飽きるまで使い続ける、
そんな幼い心を持っている彼だけど、最近はオタク用語を覚えるらしくてまぁ何とも、
「やっぱモノクロしか勝たんよな……」
見事にオタク化していく。
見た目に合わない言葉を使うものだから、それを聞く度にじわじわと笑いが込み上げてくる。
笑ったら不機嫌になるから絶対笑えないけど。
「やっぱりAってアイドルなんだね」
「は？…え、身バレ？」
「いや、ほんとに、なんでもないよ」
それに、身バレはだいぶ前からしてるし。
本人は気付いてないだろうけれど、結構チラチラ見られてる。
幾らマスクにサングラス、帽子を被ったってアイドルオーラは消えない。
そもそも、全身黒ずくめの男が二人いたら嫌でも目は惹く。
「あ、そうだ。夕飯、少し早いけど寿司でも行く？
この前行きたいって言ってただろ」
「！ 行く！覚えてたの？！ありがとう！」
「…っマジで沼で沼なのほんと死ぬ」
ぅぐ、 そんなガン飛ばさなくても……。
カートの持ち手におでこを当てたまま、こちらを見つめてくるが、その目があまりにも鋭すぎて思わず後ずさった。
悪い意味では無いからあれだけど、
Aの目力は普通に怖い。
そして、僕は祈った。
1日でも早くAの沼ブームが終わりますようにと。
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ちよひめ(プロフ) - 需要あります！次の作品も待ってます。本当におもしろかったです。 (2022年8月22日 10時) (
レス) @page50 id: 7bd8410718 (このIDを非表示/違反報告)
ルム - 最高です 神作品です何回も読んでしまいます！！！更新じゃんじゃんしてください！！！神作品でもう出会えて嬉しすぎます！更新待ってます！！！ (2022年5月30日 15時) (レス) @page35 id: cfcfb7c0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楽流 | 作成日時：2021年12月24日 9時
