転生した先は神主に拾われヒーローを目指すそうです (ページ14)

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十三話目『前にした約束』ページ14

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「俺は別にいいと思うぞ」

「…いつから？」

いつの間にか後ろに立っていた紅白の少年、轟焦凍。
小さい頃はあんなに純粋であったのに、今では無口な美形男子だ、表情もあまり変わらない。
だからだろうか、近くにいる事を全く気がつけなかった。

「そういえば焦凍の個性って…あ、ごめん」

「タブーだよ姫巫女」

「いや、気にしてない」

それでも嫌と言う事が丸わかりな歪みきった顔を直そうともしない焦凍。
それほどに嫌だと言うのは隣にいて小さな焦凍の身に起こった事を知っていれば、それは明白だ。
母が父に手をあげられる、その光景は真白の家庭では優しかったからか衝撃的なもの。
同情なのか微妙な優しさなのかは知れない、けれど昔から約束していた事が一つある。

「！……真白？」

「私で良ければ吐き出しても良いのですよ」

「……ありがとう」

互いに互いを慰め合う、焦凍が頼んだ約束を私は承諾した。
嫌な事があったのなら溜め込まず吐き出して、そうじゃないといつか破裂してしまうよ。
だから安心する笑みを浮かべて頭を優しく撫でて、私が最も安心した事を。

「おぅい、僕を忘れないでくれるかな」

「ああ、忘れてた」

「酷いや、そんな奴はこうしてやるー」

焦凍はもう気にならなくなったのか、少し白狼に対してふざけてみる。
白狼は少し嬉しそうに小さな体で焦凍に体当たりをするが、軽く右の掌で受け止められる。
じゃれ合っている姿が、とても微笑ましい。
少しだけ口角が上がった焦凍に笑みが溢れるのは微笑ましいだけだろうか。