十二話目『何年目の事実』 ページ13
個性の伸ばしと言っても基本的な力は未だ十分の二、式神などが多いが最近は新たな式神を呼べる事が少なくなっていった。
「白狼って氷系の力を使いますよね、他にも玄朱さんみたいに結界を張ったりこじ開けたりする力を持つ白狐もいますけど」
「あ、そーいえば話してなかったね」
「？」
空中に浮きながら笑いがちに言う白狼。
「僕、炎も使えるんだよ」
「え」
五歳から今までずっといたのに知らなかった事実、まあでも氷の方が少し使いやすいから、それだけ使ってただけだけどと軽く笑う白狼に言葉が出ない。
あれだけの氷を扱え、更に炎まで扱えたらそれは凄い事ではないだろうか。
流石神獣、とこんなに小さく可愛くても侮れないと改めて知った。
「何年目の事実って言うんだっけ」
「まあ言わなかった僕も悪かったかな？」
「こんなにちっちゃいくて可愛いのに」
「いやぁ、照れるなぁ」
個性の伸びとして、二体同時に出現させるとかやってみたが案外難しい。
直ぐに限界がきてしまうもの、今からでもそれを慣らして白狼の力も使い熟せるようにならないとなぁとしみじみ思う。
先ずは実践だ、毎日毎日独学の体術と個性の伸ばしのプランを本格的に考えていこうか。
「おし！」
「お、気合い入ってんね」
「焦凍は今も頑張ってると思うし、負けられないんだ」
「それよりタメ語に戻ってる」
「は！！」
なんか私は本音が出たり気分が高揚するとタメ語に戻るらしい。
この癖は無くさないと、社会では凄く生意気となってしまう。
まあ大丈夫と小さな前足で白狼は撫でてくれるけど保険はかけておいた方がいい。
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作者名：楽凛 | 作成日時：2019年8月4日 4時
