盃を交わした4人きょうだい No.9 【ONE PIECE】

394話 ページ18

バルティゴに帰還して数日。

任務の報告や書類整理で慌ただしかった兵士達も漸く落ち着いてきていた。


たった1人を除いて････。



分厚い書類を手にしたサボは誰かを探すように司令部の中を見渡す。

丁度通りかかったコアラはサボに気づくと足を止めて声をかけた。


ｺｱﾗ「随分とたくさんの書類だね、どうしたの？」

ｻﾎﾞ「あぁコアラか。ドラゴンさんからAに渡すように頼まれたんだよ。さっきから探してんだけどよ、Aどこか知らねぇか？｣


山積みの書類を見たコアラは苦笑いを浮かべながら、各自の部屋がある塔を指さした。

ｺｱﾗ「あー･･･Aちゃんなら部屋にいるはずだよ」

ｻﾎﾞ「部屋で仕事？普段こっちにいるのに珍しいな」



ｺｱﾗ「実はね･･･アラバスタ任務の時にAちゃん、1人で突っ走っちゃったり、上の命令も聞かずにかなり自由に動いたりしたでしょ？」

ｻﾎﾞ「ああ、増援も断ってたしな」



心配そうな表情で部屋の方向を見つめたコアラは｢だから｣と言葉を続けた。

ｺｱﾗ「書類の報告、作成、整理に案件の調査報告だとか色んな仕事を回されて、ここ数日部屋に篭って徹夜で仕事してるんだよ」


ﾊｯｸ「何だ、2人もAに用か？」

幾つもの任務の報告書と軍の会計書を持ったハックは｢そういえば｣と話し出す。


ﾊｯｸ「一昨日、Aを見かけたが･･･あれは、かなり疲れてるな。仲間の前では隠しているようだったが」




ｺｱﾗ「やっぱり。それで、その書類は？」

ﾊｯｸ「ボスからAに渡すように頼まれた書類だ」




ｺｱﾗ「これも、Aちゃんが任務でいない間に溜まった書類ね。普段からこなす仕事の量が多いから、Aちゃん｣

ﾊｯｸ「かなりの量だしな。Aがいないだけで仕事が滞るから、普段の凄さがよくわかる」

ｻﾎﾞ「ドラゴンさんもAはできるってわかってるからな。ホントあの2人、淡々とこなすからなァ｣



数秒沈黙した後、コアラはポソっと溢した。

ｺｱﾗ「Aちゃん、大丈夫かな･･･｣

ﾊｯｸ「あまり眠れておらんようだしな」


ｺｱﾗ「ねえサボくん、Aちゃんの様子も気にかけといてくれる？怪我も完治してないみたいだし」

ｻﾎﾞ「ああっ、そうするよ。ハック、それも一緒に持っていこう。ちょっとAを休ませてくる｣

ﾊｯｸ「あぁ、頼む｣


ハックから書類を受けとるとサボはAの部屋へと足を進めた。

395話→←393話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す