227話 ページ33
平常心、平常心、あれは寝ぼけてただけ。
手のひらに人という字を3回かいて飲み込み、心を落ち着かせて扉を開けるとゴンッと鈍い音がした。
ｻﾎﾞ｢いてっ！」
貴「えっ!?」
どうやらサボは扉の前にいたらしく後頭部を押さえている。
貴「ご、ごめん！ドアの前にいるとは思わなくて。
お、おかしいな･･･いつもは覇気でわかるのにっ」
マズイ、動揺が現れすぎて見聞色の覇気までめちゃくちゃだ。
こんな情けない姿をレイリーさんに見られ日には、間違いなく雷が落ちる。
食堂に向かう私達の間に会話はない、今日は私とサボの歩く足音が聞こえるだけだった。
サボ、怒ってるのかな･･･？
貴「サボ！えっと･･･さっきはゴメン！怒ってるんだね？｣
ｻﾎﾞ「えっ、何ことだ？」
サボはキョトンと首を傾げた。
貴「なんのことって･･･。さっき、私がいきなり抱きついたから怒ってるんじゃないの？」
ｻﾎﾞ「怒る？おれが？ははっ、バカだな。
そんな事で怒るわけねェだろ
サボが笑いながら言うもんだから緊張も解け、息をつくと胸を撫で下ろした。
貴「よかったぁ･･･。喋ってくれないからてっきり怒ってるんだと、ん？じゃあ何でそんなに静かなの？」
ｻﾎﾞ｢えっ!?い、いや･･･別に。特に意味はねェよ｣
貴「ふーん？まあ怒ってないなら何でもいいやっ。
起こしに来てくてありがとね」
ｻﾎﾞ｢かなりうなされてたけど、どんな夢みてたんだ？」
サボから目を逸らし、真っ直ぐに前を向くと手を後ろで組み、静かに目を伏せた。
貴「･･･ウーン、めちゃくちゃなんだけど。私は真っ暗な闇の中にいて、みんながいなくなっちゃうの。大切な人がみんな｣
目をゆっくりと開けると段々と聞こえてくるみんなの声に口元を綻ばせる。
貴「今までの人生で一番辛い思い出、それが影響したのかもね。
だけど･･･辛い思い出も含めて今の私がいるから」
あの事件がなければ、私は海にでる事はなかっただろう。
コルボ山でダダンさん達と過ごしながら、フーシャ村でマキノさんのお店を手伝い、エースやルフィ、サボの記事を見て喜ぶ。
そんな生活だっただろう。
サボは笑いながら頭に手を置くと乱暴にグシャグシャと撫でる。
ｻﾎﾞ｢そっか。ホントお前は強い奴だよ｣
貴「！ふふっ。No.2からそう言われるなんて、光栄だなー」
髪をぐしゃぐしゃにされながら顔を上げると、楽しそうに笑うサボを見て口元に弧を描いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 488人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミーコ(プロフ) - 206話でジンベエが言っていた議題の会話の内容がちょっと気になりました。番外編で作ってくれると嬉しいですね。本編頑張って書いてください。応援しています! (2022年10月17日 1時) (
レス) @page12 id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
コズエ(プロフ) - あーちゃんさん» 楽しみにしてくださってありがとうございます！すごく嬉しいです！これからも頑張ります！！ (2015年12月8日 7時) (レス) id: e385705f36 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 更新のスピードの速さ！毎日楽しみに読んでます。頑張って下さい。 (2015年12月7日 19時) (レス) id: 903b0c940b (このIDを非表示/違反報告)
コズエ(プロフ) - ナイトメアさん» 読んでいただいてありがとうございます！！そう言ってもらえて嬉しいです！ (2015年12月4日 12時) (レス) id: e385705f36 (このIDを非表示/違反報告)
ナイトメア(プロフ) - 投稿スピードスゴイ…ですね あ、ここまで一気読みさせていただきました！とても面白かったです！ (2015年12月2日 2時) (レス) id: fca1269cb2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
