第10話 ページ10
かと言って、このままって訳にもいかない。ずっと鳴り響いている携帯。サボりを見つかるのも面倒だし・・・よし。
意を決して携帯のボタンを押すが、耳につけると蚊のような小さな声しか出てこない。
「えっと・・・ごめんなさい」
『あぁ?聞こえねーなぁ』
うわぁ、やっぱ蘭ちゃんだ。なんで、これ竜くんの携帯だよね。持ち主はどこ行ったの?竜くん、今すぐ戻ってきて。
『竜胆、絡んできた奴 シメてるから まだ戻ってこねーぞ』
何で私の心読んでのよ。色んな意味で怖いよ。
てか竜くんの助けが来ないことが判明したし、最悪。
「ごめんっ。竜くんの携帯から、蘭ちゃんの声がしたからビックリしただけで他意は・・・」
『なあAさー、オレ傷ついたんだけど。
あーぁ、どうしてくれんだ?」
数秒考えた後、諦めたようにため息をついた。
「はぁ・・・ハイハイ、わかったよ。今度の休みは蘭ちゃんの為に空けとくよ。最近、竜くんと出掛けること多かったし」
『よく、わかってんじゃねーか』
ギリギリ命拾いはしたらしい。
声の調子からして機嫌はもう戻ってそうだ。
というか、竜くんと出掛けてるのも蘭ちゃんの使いパシリされてただけなんだけど。当の本人はもう忘れているだろう。
ようやく本題に入り、内容を聞くと顔が僅かに緩んだ。
「え、そうなの?ふーん、竜くん来れないんだ。大丈夫、ちゃんと帰るよ」
『なんか、嬉しそうだなー。やっぱり、オレが行くか』
「朝、言ったじゃん。学校、大騒ぎになるから来ないで」
蘭ちゃんが来てしまったら、もう学校に来れる気がしない。竜くんだけでも、後が大変だったんだから。
「大体2人の予定って・・・昨日の連中 見つけ出しに行ってるんだよね?だから心配してないよ、何かあったら連絡するし」
『・・・いいか、タクれよ。怪しい奴いたらワンコールな』
電話を切って、安堵の息を漏らせば制服のポケットに仕舞う。実を言うと校則で携帯禁止だ。
そもそも、蘭ちゃん達は学校なんか行かなくていいって考えだ。それを押し切って来ているのは私。
言うこと聞いとかないと、普通に学校行かないようにされそうだもんな。
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