第9話 ページ9
「あの2人に私と会ってるのバレたら面倒だし、私達が会ったのはナイショだよ。抗争の原因とかなりたくないしね」
「灰谷兄弟、まあ色々と噂は聞いてるけどよ。兄貴は妹のオマエにも厳しいのか?」
思いもよらない言葉に数秒目を丸くすると、頬杖をついて目尻を下げると口元に弧を描いた。
「その逆、優しすぎる。2人とも、大切にしてくれてるよ」
「へぇ、そうか」
ドラケン君を下から覗き見るように目を向けると、ニッと口角を上げて笑った。
「ドラケン君、優しいね。心配してくれたんでしょ?」
「別に、そういう訳じゃねぇよ」
額をペシッと指で弾かれて「いたっ」と声が漏れると、ドラケン君は「フっ」と笑いながら立ち上がった。
意外にもトーマンの副総長は優しいのだと知った。
話してみないとわかんないものね。
たい焼きを平らげ、指をペロッと舐めたマイキーは首を僅かに傾げた。
「で、なんで六本木の奴がこっちの学校通ってんの」
「私だけ生まれは渋谷なんだよね。住所なんて面倒で変えてないし、校区がこっちになってんの。色々、事情あってね」
そういえば連絡入れてなかったや、と小さくあくびをしながら携帯を開いた瞬間かかってくる電話。
携帯に表示されているのは灰谷竜胆の文字。
「竜くんさー、バカなの?私、学校って知ってるよね。なに電話かけてきてんの。普通出れないから」
『でも出たってことは、Aー?オマエ、サボってんなー』
「!?蘭ちゃ──。あっ、ヤバ・・・!切っちゃった」
耳から慌てて電話を離し、咄嗟に切る。動揺して立ち上がろうとすると目の前にいたドラケン君と頭をぶつけて、悶絶した。
「ってェ・・・!?オイ、何やってんだよッ」
「ぶっは、ケンちん 女にやられてやんの。ハハハっ」
「いたたっ、あー・・・ゴメン。てか、どうしよっ・・・うわ、さっそくかかってきた」
手の中で震える携帯。そっと地面に置くと笑いすぎて涙が出ているマイキーとドラケン君を見る。
「ねえ・・・提案なんだけど。一緒にコレ埋めない?」
「やめとけ、携帯だぞ」
「てか、いいの?さっきからすげぇ、鳴ってるけど」
「つい、切っちゃったしな・・・。ねえ、ドラケン君 出てみない?ちょっとでいいからさ」
「今、関わんなって言ってたの誰だよ。
あと妹には優しいんじゃなかったのかよ?」
「まあ普段は・・・というか、怒ってる蘭ちゃんとか私も関わりたくないっ。命いくつあっても足らないから」
「知らねーよ!」
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