第40話 ページ40
顔につけていたガーゼをとるとゴミ袋の中に落として鏡の中の自分を覗く。腕は治ってないが顔の傷は目立たなくなった。
傷は残るかもと思っていたが意外とキレイに治っている。身体中の痣も日が経つ事に薄くなっている。思いのほか、自分の身体はよく働いているらしい。
あれから学校に行く頻度はガクンと減った。学校に行こうとすると機嫌は最悪になるし、何より2人が望んでいないから。
ここまで来ると学校に行こうとする私がおかしいのか?とさえ思ってしまうほど。それほど2人が嫌悪を顕にしてるのだ。
明らかに以前より、自分の目が届かない場所に私が行くのを良しとしない。そして私の周りに人が寄ってくることも・・・。
お風呂から出て、髪をタオルで適当に拭きながらソファの角に座ると足を伸ばす。小さく出てくるあくび、腕を伸ばしながらソファの背もたれに頭を乗せた。
額に感じる僅かな痛み。眉間にシワを寄せて、薄ら目を開けると黒と金の綺麗な長髪がよく見える。
「ンー・・・蘭ちゃん、何?」
「オマエ、風邪引いても面倒とかみねェからな」
「普通に風邪引いたら心配・・・って、言えばいいじゃん」
「思ってもねぇことを言うわけねーだろ」
髪が長いほど、時間も手間もかかるため面倒くさい。それは蘭ちゃんもわかるだろうと思いたいが、週一で美容室に行くほど髪に手をかけている人間だ。
髪の手入れに関しては女の私なんかより、蘭ちゃんの方が意識高めだ。
面倒くさいのはそう簡単になくならない。「ハイハイ」と気怠げに返事をすると思い出すように蘭ちゃんを引き止める。
「ねー、竜くんは?クラブ?」
「あー、竜胆なら当分帰ってこねぇぞ。乾かしてもらおうなんて期待すんなよ」
私の考えはお見通しだ。竜くんならお願いすれば3回に1回の確率でいけるのに。仕方ない、自分でやるか。
151人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ