第39話 ページ39
2005年10月31日、東京卍會150人vs 芭流覇羅300人。この類を見ない大抗争は東京卍會の勝利。一人の死亡者と一人の逮捕者を出すという悲惨な結果に終わった。
近隣の人にでも通報されたのだろう。警察のサイレンが聞こえてくると近づいてるのか段々と音は大きくなる。
「サツだ」
「帰んぞ、オマエら」
蘭も竜胆も腰を上げ、他の連中も解散しハケていく。一番下の廃車まで降りて足を伸ばすと目の前に手を差し出される。
「さっさとしろよ。じゃなきゃ、置いて行くぜ」
なんて言いながら、手は差し出す竜胆。私も素直に掴めばいいのに憎まれ口を叩いてしまう。
「私達、ケンカしてんじゃなかったけ」
「てめェ〜･･･マジ可愛げねェなァ」
可愛げがない女だとは自分でも思う。けど、わかっていても素直になれないのだ。この性格はそう変えられない。それは竜胆も知ってる。わかってて言っているのだ。
「竜胆、退いて。自分で降りるから」
片手を屋根につき、地面に足を伸ばそうとした瞬間 腰を掴まれて一気に抱き抱えられる。小さく声を漏らすが抵抗する間もなく、地面に下ろされると竜胆は背を向けた。
「サツが来てんだ。さっさと行くぞ」
文句を言う暇もない。口を少し尖らせると竜胆の後ろをついて行くように進む。先を進んでいた蘭とも合流すると肩にスルリと手を回されてソッと指先が頬を撫でた。
「オマエのお気に入り、随分ボコられてたなァ」
「･･･。ただの顔見知りって言ったよね」
表情を変えずに見下ろされる。そもそも聞く耳を持っているのかすら微妙なところ。最初は私が勝手に動いていたからキレたんだと思ったけど、おそらく違う。
私が武道や千冬と話していたのが気に入らないのだ。
「トーマンの人間って事すら知らなかったの。もう関わるつもりはないから」
「はっ、ホントかよ」
反対から竜胆が話に入ると納得していない顔を見せる。2人の顔を見ると静かに目を伏せた。
「隣にダイヤモンドがあるのに、そこら辺に転がってる石ころに興味があると思う？」
「･･･へぇ。ハハっ、それもそうだなァ」
竜胆が声を出して笑う姿に安堵しようとするも、そんな暇もない。首先に触れられる感覚に背筋が寒くなる。首を指先でなぞられると蘭と視線が重なった。
「今回はそういう事にしてやるが･･･次はねェから」
「ッ･･･わかってる」
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