検索窓
今日:20 hit、昨日:48 hit、合計:15,683 hit

第32話 ページ32

怪我‪をして一週間経った日の朝。片手の生活にも慣れて着替えもお手の物。ソファに座ってまったりしていると蘭ちゃんが起きて身支度をしている。

人は驚くと固まる事を知った。数秒固まった後に持っていたカップを置いて、蘭ちゃんに笑いかけた。

「蘭ちゃんもやればできるもんだね」

「はっ?」


バカにしてんの?と頭を掴まれると力を入れられている。蘭ちゃんの手を掴んで離そうとするが、片手じゃビクともしない。両手でもおそらくムリだけど。

「痛い、痛いっ。蘭ちゃん、本気で力入れてるでしょ・・・!」

「本気なら、とっくに潰してるわ」


パッと手を離されると痛みを和らげるように掴まれていた頭をさすった。「もうっ」と口を尖らせて文句を言ってると後ろから黒のキャップを被せられる。

見上げると竜くんの顔が見える。帽子は竜くんが被せたようだ。しかし、私に出かける用事はない。

竜くんの白パーカを着れば、太ももまで丈がある為 あとはレギンスを着て終わり。がっつり家でくつろぐスタイルだ。

「帽子?竜くん、なんで?」

「オマエも連れてくから」


「どこに?」

「ケンカ」


淡々と会話をするが、眉をひそめると「はぁ?」と相変わらず口の悪い言葉が出てくる。だけど謎なのは連れて行くと言っている竜くんの方が嫌そうだってこと。

「私、役に立たないよ?」

そんなの知ってるといった顔の灰谷兄弟。そりゃそうだろう。私が一番わかってるつもりだ。

腕の怪我を隠すように上から黒の上着を掛けられると、竜くんの匂いがフワっと香る。しかし、竜くん警戒心高いな。

特別寒いわけでもないから上着もなくていいし、帽子も私は普段 被んないのに・・・。怪我も顔も隠そうとしてる。

「竜胆、Aをあんま見られたくねぇんだろ」

蘭ちゃんは笑いを含んだように私の疑問の答えを竜くんに投げかけた。私、顔に出てたのかな。

「今日は東京中の顔役みてぇな奴らが集まるんだぜ。オレらといるんだ、これ以上狙われたらどうすんだよ」


心配して、私の事を思ってくれてるのもよく伝わった。しかし我慢できずに手を小さく挙げた。

「待って、なにその物騒なケンカ」

第33話→←第31話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
151人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白花 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2024年2月26日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。