第28話 ページ28
「ねえー、竜胆が呼んだ奴まだ?ピザ忘れてないよね」
「もうすぐ来んだろ」
そこら辺に転がった中身のない酒瓶。お腹も空いてきた為、竜胆の知り合いを呼び、ついでにピザも買ってくるように頼んで待っているところ。
2人でかなり飲んだが、お互い酒には強いため酔いつぶれる事はない。私の酒癖の悪さを一つあげるとすれば、どこでも寝てしまうぐらい。
わかっていながら飲んでしまうのが酒呑みの性だ。ま、未成年が何言ってんだって感じだけど。
頬に手が添えられた。お酒で身体が火照ってるのだろうかヒンヤリとした手が気持ちがいい。竜胆に顔を覗き込まれてるがわかると僅かに首を傾げた。
「顔、少し赤くなってからアイツら来ても程々にしとけよ」
「まだ酔ってないから平気」
「酔うと、オレを呼び捨てで呼ぶの誰だっけ」
「あー・・・最近、飲む回数減ってたから弱くなったかな」
私の酔った時のクセをよく知っている。元々は酔った私がふざけて「蘭ちゃん」やら「竜くん」と呼び出したのが始まり。今では逆だ。
今はとにかくフワフワと気分がいい。竜胆の言う通り、酒が回り始めてるのだろう。幸いにも蘭はまだ起きてこないし、まだどんちゃん騒ぎはできそうだ。
そうこうしてると部屋に響く呼び鈴。ピザ来た、と気分高々に立ち上がると竜胆に座るように促される。そして玄関に向かう竜胆を見送ることに。
背を見送りながら、ソファに片膝を立てると腕で包んで膝に頬を当てた。
・・・昨日の件で竜胆の警戒心が強くなった気がする。
こんな怪我、気にしなくていいのに。
グラスを傾けて残っていた最後の一口を喉に流し込むと腹の虫を誘い出すような美味しそうな匂い。
前を見るとピザの箱がテーブルに置かれている。顔を上げると酒を飲んで薄らと閉じかけていた目は大きく開き、笑い声がもれ出した。
「ははっ、いらっしゃーい。随分来たね〜」
「Aさん、お邪魔しますっ。もう飲んでたんっすね」
私も酒を飲むため、竜胆が引き連れる連中とは私も顔見知り。ザッと数えても10人ほどいる。
年下の私に頭を下げ、敬語なのも竜胆の妹だから。六本木を仕切ってる竜胆はそこらの不良が頭を下げる存在なのだ。
151人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ