第23話 ページ23
薄らと目を開けると見覚えのある天井。ここは・・・そう考えていると唇はゆっくり動いていた。
「・・・蘭」
視界の端に見えたのは三つ編みにされた綺麗な髪。ベッドに腰掛けている蘭ちゃん。手を伸ばしてみると優しく握られた。
「目ェ覚めたか。気分はどうだー?」
「・・・あちこち痛いし、最悪っ」
語尾を強めて答えると「だろうな」と微笑する蘭ちゃん。頭を撫でたと思うと髪を一束手に持って笑っている。
「ケンカ弱ェくせに立ち向かおうとするのは昔からだな」
「灰谷の妹が逃げ腰じゃ話になんないでしょ。・・・ねえ、蘭ちゃん」
「駄目に決まってんだろ」
「まだ、何も言ってないよ」
「どうせ、鍛えろとか言うんだろ。却下」
その通りだ。不満そうな顔をしていたのだろう。髪をくしゃっと撫でられると、蘭ちゃんは微かに笑った。
「いいんだよ。オマエはオレらに守られてればな。一生」
私達は兄妹でなければ、血も繋がってない。一人でいた私を蘭ちゃんが気まぐれで拾った。ただ、それだけ。
それだけの関係。なのに、実の親なんかと比べ物にならないぐらいの愛を貰った。
「兄ちゃん、A起きたんたなら教えろよっ」
身体を起こそうとすると側まで来た竜くんに止められ、ベッドに逆戻り。まるで子どもを相手にするように頭を撫でられた。
「寝てろよ。あっちこっち怪我してんだぞ」
「うんっ、ありがとう。あれ・・・病院、行ったんだっけ」
固定された利き腕。額や頬にはガーゼがつけられ、身体のあちこちにも包帯やガーゼで手当されてる。
「そうだ、携帯も壊されたんだ。困ったな」
「別に困んねーだろ。オマエ、友達いねぇんだしよ」
「なんで知ってんのよ、バカ兄貴!」
「べーっ」と舌を出す蘭ちゃん。枕を手に持って投げようとすると間に入った竜くんに止められる。
「待て待て、Aはすぐムキになるな。兄ちゃんも今はやめろよ、コイツ怪我人だぜ」
枕を下ろして息をつけば、助けてくれた2人の姿を脳裏に浮かべると腕をツンっと引っ張った。
「2人とも、カッコよかった。いつか、私にも蘭ちゃんと竜くんを守らせてね」
目を丸くしてニッと楽しそうに笑う竜くん、少し不満そうな蘭ちゃん。さっき言った事忘れたのか?そんな顔をしてる。
「へえ、末っ子が言うようになったじゃん」
「オマエには、100年早いんだよ」
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