検索窓
今日:22 hit、昨日:48 hit、合計:15,685 hit

第22話 ページ22

どこから現れたのか。横を通り過ぎた瞬間、自分より大きな男を一発で失神させたのは2人の男の子。

三つ編みの子に団子頭の子、私より少し上ぐらいに見える。

「なあ・・・オマエ、名前はー?」

三つ編みの子は拳についた血を払いながら、口の端をあげると首を傾げてる。笑ってるけど雰囲気ヤバそうね。

「A。苗字は・・・捨てた」

「ふーん、Aか。オマエ、面白いな」


眼鏡をかけた団子頭の男の子は顔を近づけると楽しそうに笑ってる。

「ハハっ、殴られながらスル奴なんか初めて見たぜ。なあ、兄ちゃん?」

三つ編みの子を「兄ちゃん」そう呼んだ。 この子たち兄弟か。私がスってるバレてるし、今までバレた事なかったのに。


「見かけねー顔だけど、どこから来た?オマエ、親は?」

親、その単語が出た瞬間 顔が険しくなる。ハッとして表情を戻すも隠す必要もないのでその通りに話した。

「元は渋谷だけど、今は転々としてる。クソな親なら、こっちから捨てた。」


眉をピクっと動かすと一歩後ろに下がった。

「家に帰れとか、警察っていうなら話は変わるけど。あんなとこ、絶対戻らないからっ」


近づいて来る三つ編みの子に警戒していると、反対に優しい手つきで頬を撫でた。

「A、一緒に来い。面倒見てやるよ、オレが飽きるまでな」

「・・・はっ?嫌だけど。名前も知らない奴について行くとか、無理あるでしょ。そこまでバカじゃないから」


「灰谷蘭。こっちは弟の竜胆。さて、これで知らねぇ奴じゃねぇよな」

肩を抱いた手、下から綺麗な顔を覗き込ませた蘭は楽しそうに笑っている。コイツ、思った以上にヤバい。

「頭おかしいんじゃない。私は一人がいいの」

「ちなみに来なかったら、コイツらみてぇになるぜ」


やっぱり前言撤回。ヤバいのは蘭だけじゃなくて、弟の方もだ。従わなかったらボコる前提じゃん。


「この街で住めねーようにもできるからな。よーく考えろよ」

「知ってる?それ脅しって言うんだよ。嫌って言ったよね」

「わかってやってんだよ」

この2人のヤバさはよくわかった。諦めたように小さくため息をつくと手を出した。

「いいよ。飽きたらさっさと捨ててね」

「契約成立だな。捨てられないように励めよ」


お互いの手を叩きあった。これが私たちの出会い、私の人生の分岐点だ。

「苗字捨てたとか言ってたな。灰谷の名、貸してやるよ。精々、オレらの役に立てよ」

「妹か!オレ、兄貴だから敬えよ」

「・・・ハイハイ」

第23話→←第21話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
151人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白花 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2024年2月26日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。