第21話 ページ21
パーカの内側のポケットに下から財布を入れ込むと、腕で血を拭って立ち上がった。
「いったいなァ。・・・で、どう?気はすんだの?」
後ろ手に組んだ手のひらに隠し持った石ころ。手のひらで転がすと石同士が擦れて小さく音がする。
遠くには飛ばせないから、距離を詰めないとなー。
「何だこのガキ、ヘラヘラ笑って気色悪い奴だな」
「てめッ、オレらの怖さ思い知らせてやるよ」
「いいよ。暇つぶしにはなるでしょ」
大振りに腕を振り上げて迫ってくる男、目の前まで迫ると砂を投げて視界を閉ざしてから石を顔面目掛けて投げつけた。
「いッてェ・・・!!!」
2人目がくる。1人目の男から離れて、木の枝を手に取ると向こうが迫る勢いに合わせて枝を構えた。
「ッ・・・!!? コイツ、目ェ狙いやがったッ」
「あーぁ、残念。失敗か、目でも潰してやろうと思ったのに」
寸前で避けられた為に目の横を掠ったのみ。小さく舌打ちをすると先が折れた枝を捨てた。口の端を上げて笑ってみせると一瞬たじろぐ目の前の男。
バカだ、子ども相手に足がすくんでる。気持ちで負けたら、もうどうにもならないのに。
「私は力もないし、単純に弱い。だから、容赦なく急所を狙う。死んでも恨まないでよ」
胸ぐらを掴まれて地面に押し倒されると拳が落ちてくる。顔を横に動かして避けると、落ちてきた拳は地面に当たる。
手の中に隠していた石を握ったまま男の首を狙った。激しい咳き込み、胸ぐらを掴む力が弱まると一旦距離をとろうと抜け出していると足を掴まれた。
次の瞬間 体が浮き上がると、地面に落ちて背中を強打する。
「ッい・・・けほっ」
さすがに痛みが勝る。一瞬声がでなくなり、か細く息を吸い込めば咳き込みながらゆっくりと上半身を起こした。
そりゃ殴られれば痛いし、血は出る。だけど自分のタフさに毎度驚かされる。まあ、じゃなきゃとっくに死んでるか。
血を吐き捨てると乱れた髪を揺らし、首を傾げて笑った。
案の定、誘いに乗って叫びながら向かってくる。
だけど、次の瞬間 男は2人とも目の前で失神していた。
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